淫獣捜査 隷辱の魔罠

【48】 強い視線

 黒革の拘束具でヒトイヌ拘束をされている涼子さんと美里さんは、黒スーツの男に首輪に繋げられた鎖を引かれ、ガラス壁の向こうにある部屋へと引き立てられていった。
 激しい便意と、数々の淫具で責め立てられ続けている身体をガクガク震わせながら、折り畳まれた四肢の肘と膝で床を蹴って必死に歩いていく。
 そうして、ガクンガクンっと身体を左右に揺すりながら進んだ後には、彼女らの体液がポタポタと滴り落ちていた。

「はははッ、ありゃ、相当キテるなぁ」

 そんな彼女らの姿を見て、俺の横に並んで立っていたタギシさんは口元に意地の悪い笑みを浮かべた。
 だけど、それに関しては俺も同様に感じていた。

―― 涼子さんは俺に脇目もふらず、待ち焦がれたかのように、黒スーツの男の後についていった。 ――

 その姿には、彼らに対する敵愾心や嫌悪感は感じられず、ただ求めるモノを与えてくれる主人に尻尾を振り従う牝犬のようであった。
 気高く凛とした涼子さんが、そんな状態に貶められた事を俺の理性は悲しむと共に、そこまで彼女を追い込んだ支配人をはじめとするこの施設内の人間に改めて戦慄を感じていた。

―― 女は所詮、男を喜ばせる為に存在する只の牝である ――

 それを実現とする為に、あらゆる労力を惜しまず注ぎ込みつくられたであろう秘密クラブ。
 その空間にいると、先ほどの非人道的な言葉も事実であり、普通のことであるかのようにすら感じる事に、今更ながら恐ろしいと感じていた。
 そして、それに徐々に染まっていき、心地よくすら感じている俺は、目の前の涼子さんの姿に悲しんでいるはずなので、股間のモノはズボンの中で硬くそそり立っていた。

(……俺の倫理感が、根本から崩れ落ちそうだよ……)

 右腕に抱きついて支えてくれているナナさんの柔らかな感触に浸りながら、薄暗い廊下の闇に紛れて俺は人知れず口元を歪めると目の前の光景へと意識を戻した。



 ガラス壁の向こうの煌々とライトが照らされた真っ白い部屋では、涼子さんと美里さんが拘束されようとしていた。
 そこは基本的に、先程まで女性たちが洗浄していた空間と同じ作りのようであった。2人はクッションの付いた小さな台の上に四つん這いの状態で腹部を載せ上げられると、台座に取り付けられているベルトを見事なほど括れた腰に巻きつけられ、ギュッと締め上げて固定されていく。

「おぉぅッ!!」

 腸内に注ぎ込まれた浣腸液の効果のより発生したガスで膨れていた腹部を締め付けられ、軽く呻く彼女ら。そんな2人の四肢を男たちは床に埋め込まれたU字フックへと、いくつもの鎖で次々と繋ぎとめていく。
 そうして身体の固定を終えると、腹部に押し当てたれた台座がせり上がり、彼女らに尻を高々と突き上げたポーズを取らせていった。

「ここまでは、先程までと同じですわね」
「……えぇ」

 目の前の光景から目を離さずに、俺はナナさんの言葉に頷いた。その先では、黒スーツの男たちが彼女らに被せていたガスマスクを脱がせようと、後頭部のベルトを緩めていた。
 ズルっとガスマスクが脱がされ、全頭マスクを被った涼子さんの頭部が露わになる。


―― 顔のオウトツがわかるほどピッチリと顔に張り付き、顔全体を締め付けている黒革の全頭マスクが彼女の頭部をスッポリと覆い、目元に開いた多数の小さな覗き穴が、まるで昆虫の頭部のような奇異の印象を与える ――

―― 口には、まるでお風呂の栓のような銀色のリングが噛まされ、妖しくヌメり光るピンク色の綺麗な口腔を晒し、舌をだらしなく突き出しながら、ダラダラと涎を滴らせていた ――

―― 口枷を固定する為のベルトが彼女の鼻より下をスッポリと覆い、更には下顎や、鼻の両脇を通って頭上に這わされるハーネスが、ギチギチと全頭マスクの上から、彼女の頭を締め付けている ――


 自らの手で2度にわたって全頭マスクを彼女に装着した俺ですら、それが涼子さんであると時々、信じられなくなる。だが、ガスマスクを外されて視界が広がったであろうその女性が、ハッとしたように俺の方へと視線を向けると、それが涼子さんなのだとホッとする俺がいた。

(……よかった、まだ、俺を認識できてる……)

 既に正気でいられてないのではないかとすら思える彼女に対する数々の責めに不安を感じてした俺は、安堵のため息をついた。

「ふふふ、ちゃんと貴方様を認識しているようですわね」
「……えぇ」
「あらあら、貴方様も口元が嬉しそうに綻んでますわよ」
「――えッ!?」

 ナナさんの言葉に、俺は慌てて空いている左手で口元を抑えると、その様子に彼女はクスリと笑った。
 そして、まるで涼子さんに見せつけるかのように、俺を首に両手を回すと、柔らかな乳房を俺の胸板に押し付けて、突然、唇を重ねてきた。

「ちょ……ナナさ……んぐッ!?」

 唇を割り裂き、彼女の柔らかくヌメった舌が、俺の口腔の潜り込み、俺の舌に絡みついてくる。
 彼女の舌先が、俺の舌腹、上あご、歯茎と這わされていくと、あまりの心地よさに足の力が抜けそうになった。
 慌ててナナさんの腰に手を回して掴まると、俺は力が抜けかかった足に力をいれ踏ん張る。
 そうして、突然の事態に醜態を晒さずにすんだ俺だったが、なにかジッと見られている強い視線を感じて慌ててそれを探った。

(なッ、なにが……えッ……)

 視線を元を探ると、ガラス壁越しに涼子さんと目があった。
 全頭マスクに開けられた小さな覗き穴で、こちらからは彼女の瞳を見ることもできないが、確かに彼女と視線が合ったのがわかった。
 その視線に込められた強い気配に、目元を隠すマスクの下で俺の顔は強張り、訳も分からず背筋に冷や汗をかき始めていた。

(いや……あのぉ……りょ、涼子さん?……)

 殺気とは異なる強い気配を感じる彼女の視線に、俺は目を逸らすことも出来ず、背中に汗をかきつつも辛うじて平静を装うのだが、心はとても落ち着かなかった。
 そんな状態の俺に、涼子さんは視線を射掛け続けるのだが、ふいにツーっと視線を横にズラした。
 自らに向けられた視線を感じたのだろう、ナナさんは俺の口から唇を離すと、ゆっくりと振り向いて涼子さんを見下ろした。

「あらあら、貴方様の奴隷ちゃんに怒られてしまいましたわ」

 まるで悪びれた様子もなく悪戯っ子のような笑みを浮かべると、ナナさんは涼子さんと視線を交えたまま、今度は俺の股間に細い指を這わし始めた。

「――お、おぉッ……」

 妖しく這わされるナナさんの指先の感触にゾクゾクと背筋を震わせて思わず声が漏れそうになる。そんな俺に構わず、ナナさんはズボンの布越しにますます硬くなる怒張へと指を絡めていく。
 その光景をみて、涼子さんの肩がビクッと震えたように見えた。そんな彼女の姿にハッとすると、俺は気がついたらナナさんの手首を掴んでいた。

「ちょッ……そ、そこまででストップッ」

 そのまま享受していたい欲求になんとか堪えて、俺は股間から彼女の指先を離す。

「あンッ、折角、これからでしたのにぃ」
「いやいや、既に車中で抜かされてますからね、これ以上したら勃たなくなっちゃいますよッ、それに……」
「……それに?」

 キョトンとした表情で見上げるナナさんの耳元にそっと口を近づけると、俺は小さく囁いた。

「これ以上すると……タギシさんがイジケちゃいますよ」
「……え?」

 チラッとタギシさんを見ると、彼はガラス壁の向こうの美里さんへと視線を注いているようなのだが、腕組みした指先が忙しなく動きトントンと自らの腕を叩いていた。
 その様子に、ナナさんはプッと笑うと、彼からの視線に隠れるように俺の身体の影に潜み、クスクスと含み笑いをし始めた。

「お二人さん……しっかり聴こえてるよッ」

 口をへの字にしつつ眉をひそめるタギシさんは、ぶっきらぼうにそう言い放つ。だけど、すぐに肩を竦めて、口元に苦笑いを浮かべた。

「そろそろ、あちらの用意ができだようだぜ」

 タギシさんの言葉に従い、視線をガラス壁の向こうへと戻すと、作業員が室内になにやら器具を運び込んでくるところだった。





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