淫獣捜査 隷辱の魔罠
【70】 公開調教
俺と兄貴の幼馴染であり、いつも身近にいた涼子さん。
活発でリーダーシップのあった兄貴の後を追うように、引っ込み思案だった俺の手を握ってくれてたのは彼女だ。
そんな彼女に、俺は密かに想いを寄せていたが、彼女の目はいつも兄貴の姿を追っていたのも知っている。
彼女が兄貴を見ていたように、俺もふたりの後ろ姿を見ていたから……だから、彼女が兄貴と同じく刑事になったのも、しばらくして二人が結婚したのも当然の結果だと受け入れていた。
おしどり夫婦という言葉が似合うふたりの結婚式で、彼女の幸せそうな笑顔を祝福するとともにチクリとする胸の痛みには気づかないふりをしていた。
――彼女が幸せならそれでいい……
そっと見守り、義弟でもそばにいれることを素直に喜んでいたはずだった。
だが、突然の兄貴の死によって事態は一変する。
訃報に駆けつけた俺は、出迎えてくれた彼女の憔悴した姿に動揺が隠せなかった。いつも颯爽とした凛々しい彼女が目を泣き腫れていたこともそうだが、その姿を見たときに沸き上がった自分の感情への驚きが勝っていた。なぜなら実の兄の死を悲しむよりも、彼女の笑顔を奪ったことに怒りを覚えていたからだ。
――才能や人徳など俺の持っていない多くのものをもっていた上に涼子さんまで手に入れた癖に、彼女を不幸にしやがった……
端からみれば不条理極まりない八つ当たりなのも自覚している。でも、俺にとっては彼女の笑顔がすべてだった。
だから悲しみに暮れる彼女を支えて再び笑顔にしたいと思ったし、それができる近い立場にいることを密かに喜んでもいた。
――だが、兄貴の死に疑念をもった涼子さんが独自に調査するとは予想外だった……
結婚して随分と大人しくなったから失念してたが、その真っ直ぐな心持ち故に、時にはあの優秀な兄貴すらも振りまわすような無鉄砲さを発揮するのが彼女だった。
切っ掛けは兄貴が遺したデータだった。その解析を依頼されてみたのは、なにかの帳簿らしきデータと動画ファイル。そこには涼子さんとの因縁深い人物が映っていたのだ。
――紫堂 一矢(しどう かずや)
元暴力組織の幹部であり、彼女の親友である冬月 蛍(ふゆづき ほたる)さんの失踪にも関わっていると疑われた人物だった。
その他の女性失踪事件に関わっている容疑者であったが、なかなか尻尾を出さない彼を涼子さんは別件逮捕するも親友の行方は掴めなかった。
しばらくして出所した紫堂は国外へと姿を眩まし、涼子さんは強引な捜査が問題となり刑事を辞めざるおえなくなった。
その紫堂が出いていたのは拘束した女性を凌辱してみせるショーの光景だった。
そこから独自に調査を開始した彼女は、かつての上司であった駿河 忍(するが しのぶ)さんの協力を得て、紫堂が主催する秘密倶楽部が主催するパーティーへの潜入を試みていた。
彼女から呼び出された俺は、偽りの身分で潜入するためのパートナーに指名されたのだった。
――そんな涼子さんが、今、目の前で移動式の磔台に拘束されてた。
自走式の介護ベッドのような台車は、ほぼ垂直になるまで起き上がっている。そこに全裸にされた彼女が大の字に拘束されているのだ。
目元を黒革のアイマスクで覆われ、ルージュをひかれた唇をリングギャグで押し開かれている。細首には奴隷の身分をあらわす首輪がはめられていた。
――そんな無惨な姿なのに、俺は彼女の見事な肢体に感嘆の声をもらいそうになっていた。
日々のエクササイズを欠かさないという見事なプロポーションのボディが、四肢を広げられた姿で余すことなく曝されている。
その艷やかな白い裸体には贅肉がまったくといっていいほどない。スラリとした長い手脚に極限まで括れた腰、それでいて胸やお尻はほどよいボリュームを維持している。
おもわず見惚れてしまうほど素晴らしき裸体だが、俺と離れている間に乳首とクリ×リスにリングピアスが付けられてしまっていた。
特殊な合金でできているらしいそれは、継ぎ目もわからぬほど綺麗に接合されて普通には取り外しも難しいらしい。
肉の突起を貫く銀のリングが周囲からの強いライトの光を浴びて冷たく光っているのだが、わずかに振動していることに気がついた。
特定の周波数で共振するらしい素材のみで造られ、稼働部分もないので振動しても音もたてないのだ。
だが、わずかな振動でも女性にとっては敏感な箇所だ。充分に効果を与えている。
「はぅぅぅ……」
うっすらとピンク色に染まりだした柔肌には汗の珠が吹き出しはじめ、リングギャグを噛まされた口からは熱い吐息がこぼれる。
磔にされた裸体が切なげに振られるたびに彼女の豊かな乳房がふるえて、股間の秘処からは愛液が溢れだしているのだ。
その艶かしい姿にゴクリと生唾を呑み込んでいた。それは周囲で観覧する会員らも同様なのだろう。冷えきっていた会場の空気も再び淫靡なものへと変容していく。
「さーて、そろそろ始めようぜ。だがな、無理に気張る必要なないからな、まずは自分が楽しめよ」
そう声をかけてくれたのは、タギシさんという三十歳前後の肌を日焼けさせたスポーツマンらしき雰囲気の男性だ。
ここの会員らしく手にいれた女性が、涼子さんと同様に倶楽部の支配人に気に入られてから同伴している。
気さくな性格で世話焼きらしく、新人である俺に親切にいろいろと道中で教えてくれる方だ。支配人やスタッフへも物怖じしない言動から、他の会員とは雰囲気を異ならせている人物だった。
「心の赴くままですね」
「そうさッ、わかってるなッ」
俺の返事に、タギシは綺麗な白い歯をみせて爽やかに笑ってみせる。
そんな彼が手にいれた奴隷というのが美里 夏貴(みさと なつき)さんだ。同僚の先輩カメラマンとともに秘密倶楽部を探っているところを拐われて、ここの奴隷として連れてこられた出版社の記者さんだ。
涼子さんにも負けずの空手使いで、何人もの会員たちを相手にして大立回りをみせた勝ち気そうな女性だ。
だが、そんな彼女も奴隷調教を受けさせられて、こうして涼子さん同様に磔にされているのだった。
「あはぁぁンッ」
「おッ、随分と可愛い声で鳴くようになったなぁ」
タギシさんは胸も荒々しく揉まれて、数時間前まで処女だった美里さんは淫らな喘ぎ声をあげていた。
涼子さんと同じくリングピアスの洗礼を受けているのだろうその声は、タギシさんの手によって徐々に大きなものへと変わっていった。
(……と、いかん、いかん、見惚れている場合じゃないぞ)
今は新会員である俺のお披露目を兼ねた公開調教の最中だ。
それを見守るのは会員たちの中でも選りすぐられたVIP会員たち。この倶楽部にも精通している彼らに見られて手を抜けるほど、俺に技術も器用さもない。
少しでも注意を引いて、時間も稼ぎたい俺には全力を出すしかない。
(いくよ、涼子さん)
目の前にある眩いばかりの肌を手で触れる。きめ細かく、まるで手のひらに吸い付くような素晴らしい感触だ。それを堪能するようにゆっくりと表面を撫でていく。
「あッ、あふぅぅッ」
黒革のアイマスクに覆われて細かな表情は読み取れないが、気の強さが現れているキリリとした太めの眉毛が折れ曲がり、眉間に皺を寄せているのがわかる。
そんな彼女が洩らす声には、媚びた雰囲気を感じられた。
(たった一晩の潜入捜査……こんな無茶をする価値が本当にあったのか?)
女性の身体の自由を奪い、その尊厳をすらも貶めることを嗜好とする連中が集まった秘密倶楽部。そこに女性が潜入するには牝奴隷の身分を偽らなければならなかった。
紫堂のよく知る彼女でないと判別できないとの理由だったが、本当にそうだったのだろうか。他に手段があったのではと思わなくもない。
全頭マスクで素顔を隠した涼子さんは、黒革の拘束具で自由を奪われ、俺が偽る新人会員の牝奴隷としてこの倶楽部へと侵入したのだ。
マゾの性癖を持たない普通の女性には、ここでの体験はキツいものだろう。人前での強制排泄や身体にリングピアスまで付けられ、奴隷の刻印までも焼き入れられてしまっている。
(せめて、その努力を無駄にはしたくないな……)
紫堂らしき白いスーツ姿の人物は、すぐ目の前にいた。本来ならば当初の予定通りに彼女に紫堂か確認してもらうべきだろう。
だが、以前の全頭マスクならば覗き用の細かな穴があったので安全に対処できたが、今はアイマスクで完全に視界を塞がれてしまっている。素顔をさらすリスクも考えないといけない。
ならば、とっとと駿河さんに合図を送るべきなのだろうが、それに決めかねているのに理由があった。
俺が知る紫堂は、画質の荒い動画ファイルで見ただけだが、目の前の白スーツの人物と対峙した時に違和感を感じていたのだ。
――よく似ているが違う……
そう強く感じてしまっていた。なにか、大きな間違いをしているような、いいようのない不安が胸にあった。それが何なのか分からずに動けずにいるのだった。
(それにしても、一晩で変わったのは俺もか……この魔窟へと足を踏み入れたことで随分と変えられてしまったな)
潜入のための偽りの身分だから何度も自分に言い聞かせているが、本来なら覗くこともありえない特権階級の人々が温かく迎い入れてくれ、対等に会話をしてくれると、自分もそこの住人になれたように錯覚して、それが実に心地よいのだ。
特にここでは、あらゆる欲望が赦されて、倫理の壁を容易に飛び越えることができる。
欲望が溢れる異常空間――女性をモノのように扱い、奴隷の身に貶める秘密倶楽部に数時間いただけで、あらゆる感覚が麻痺してしまっている。
潜入するためとはいえ、憧れの女性を奴隷として扱い、羨望の眼差してみられた経験は、俺の理性を次々と壊していった。
そのお陰で俺は、心の奥底に押し込んでいた欲望をハッキリと自覚させられていた。
――涼子さんを俺のモノにしたい……
潜入中もふとしたことで彼女が亡くなった兄貴を想っていることに激しい苛立ちを覚えてしまった。
そして、彼女が誰かに再び取られることを考えると、その拒否感は強くなる一方だった。
誰とも知らない男のものにするぐらいなら、俺のものにしたい。その為に潜入捜査のための偽りの主従関係を利用しようとするのは、当然の成り行きだろう。
計らずとも国民的アイドルである翠河 玲央奈(ひかわ れおな)と出会ったことが予行演習となった。
雲の上のような存在である少女と、一時的とはいえ関係を深めて脱出するための協力を得ることができたことは大きな自信になっている。
少なくとも、背後に控えてくれている少女の存在は、この魔窟で俺の支えてくれる重要な存在であった。
(あぁ、わかっている……これは、俺のワガママだ)
そうだと自覚しても、今となっては踏み止まる気もない。
大勢のVIP会員らが見守る円形ホールの中央で曝されている涼子さんの腹部へと指を移動させていく。
「――あうぅッ」
全身の産毛まで綺麗に脱毛さて、まるで赤子の肌のようにツルツルとした表面。引き締まった腹筋を伝い、臍を避けると下腹部へと移る。
逆三角形に整えられていた黒い茂みは姿を消して、代わりに奴隷の烙印が焼き付かれている。
複雑で細やかな紋様が肉体のカーブの影響を受けずに再現されているのは、レーザーのよるものだからだろう。一瞬で表面だけを焼いているので、すぐに塗られた沈痛効果のあるジェルのお陰で、触れても痛みを感じていないようだ。
それを確かめるように絵柄の縁を指先でなぞってみる。Mの字を伴ったハート型に茨に囲まれ、王冠をかぶった生物が描かれている。
猿のようなそれは、『猩々(しょうじょう)』だとタギシさんが教えてくれた
古典書物にも記載されている架空の生物で、能の演目にもなっているらしい。
その足元には帯が描かれているのだが、本来ならがそこに奴隷の持ち主の名前が描き込まれるものだ。
(もし、ここに俺の名が刻まれたら、涼子さんはどうするかな?)
優しい彼女のことだから、巻き込んだことを虐に謝罪してきっと笑って許してくれるだろう。その後に密かに死んだ兄貴に謝る姿が容易に想像できる。
(そんなことさせない為には、兄貴を忘れられるぐらい俺を上書きしてやるッ)
「はぐぅぅぅッ!?」
苛立ちのままにクリ×リスを貫くリングピアスを指で弾いて彼女を呻かせると、股間へと滑らせた指先を秘部へと侵入さる。
膣内はすでに愛液で濡れていて、あっさりと指を迎え入れてくる。掻きまわすと、すぐにピチャピチャと淫らな水音を響かせはじめた。
視界の塞がれた彼女には、秘部に指を入れているのが俺だとわかっているのだろうか。指を追うように腰をくねらせて淫らな声を漏らしはじめる彼女に、ふとした疑問を感じる。
そのことが俺にイタズラ心を呼び起こす。突起してきた肉壁の粒を感じながら愛撫を続ける一方で、ゆっくりと耳元へと口を近づける。
「いい声をだすね、義姉さん……」
「――ッ!?」
アンアンと喘いでいた彼女が、周囲には聴こえないその囁きにビクッと肩を震わせる。なにかを求めるような仕草をするが、それを無視すると代わりに耳へと舌を這わせてやった。
「あッ、あぁぁぁンッ」
ゾクゾクっと裸体を震わせて、挿入した指を食いちぎらんばかりに膣壁がギュウギュウと締め上げてくる。
それに構わず指を大きくスイングさせると愛液の量は増し、喘ぎ声も大きくなる。
「俺でも、そんなに感じてくれるんだね」
その言葉に耳まで真っ赤にさせて羞恥すると、嫌々と首を小さく振ってみせる。その気恥ずかしそうにする仕草が大いに嗜虐欲を刺激する。
挿入する右指を二本に増やして、さらに派手に水音を立てながら、釣り鐘状の見事なカーブを描く乳房へと左手を埋めると、手のひらに乳首を責めるリングピアスの振動を感じながら、ゆっくりと揉み立てていった。
張りといい、弾力といい実に心地よい感触だった。それが憧れの女性であった涼子さんの胸である悦びに身を震わせてしまう。
「ほら、大勢の会員たちに見守られているんだ。しっかり感じてるようにみせないとダメだよ」
案内人であったナナさんしかいなかった送迎リムジンとは違い、今度は大勢のVIP会員たちが見守るホールだ。
そのことを教えてやることで、義弟を相手にしての行為を大勢の人間に見られている事実が彼女の背徳感を強めていく。
そのことに彼女が激しく興奮していることが、俺を後押しする。
「こんなピアスに加えて奴隷の烙印まで肌に入れてもらって一人前の牝奴隷になれたね」
「あふぅン」
「もっともっと淫らにさせてあげるよ。その姿を見守る大勢の会員の方々とオーナーの白スーツの方にしっかり見ていただくんだよ」
その言葉に込められた意味に、一瞬だけ彼女の動きが止まった。だが、すぐに前以上に身悶えしてみせる。
そうして、じっくりと官能を蕩けさせたところでナナさんがスッと俺の脇に寄ってくる。
俺を迎えにした時はスーツ姿のよく似合う理知的で有能な秘書のような姿だったが、今の真赤のボディスーツ姿は妖艶という言葉がピッタリだろう。
何人もの牝奴隷を抱える秘密倶楽部でも一握りしか存在しないプラチナプレートの特別な存在だ。今は俺のサポートするために脇に立っているようだが、それまでの親密な雰囲気と変わってよそよそしい雰囲気を漂わせている。
だが、お互いにそれには触れない。タブレット端末を片手にする彼女にオーダーを出す。すると涼子さんを拘束しているベッドの表面に切れ込みが入り、その形状を変えていく。
様々な形状で拘束できる変形式の磔台なのだ。拘束を解かぬまま彼女の姿勢が変わり、下半身を背後に突きだしたポーズへと変化する。
形状としてはギロチン台の拘束だろう。手首と首を一列に拘束した姿勢のまま、膝をつかされていた。
「おッ、おもしれぇな。シオ、こっちもあれで頼む」
俺の行動をみて、タギシさんもサポートについているシオさんに指示をだしていた。美里さんもまたギロチン拘束へと移行すると横に並べられるのだった。
「それで、この後はどうするよ?」
期待する眼差しでニコニコする彼に苦笑いを浮かべながら、俺はナナさんから差し出された物を受けとる。
それは鞭だった。黒くしなやかな革を編んで作られた一本鞭だ。
――パシーンッ
大きく振るって床を打ち付けると、乾いた打撃音がホールを響かせる。それが緩んできた場の空気に心地よい緊張をもたらす。
俺の趣旨を理解したらしいタギシさんも同じ鞭を手に取ると、嬉しそうに素振りする。
彼が鞭を好むのはナナさんと言葉で把握していた。俺の玲央奈で試すことができたので、少しは自信がある。
俺たちは奴隷の背後にまわる間、彼女らの下からは三つのアームがせり上がってくる。二つには透明なカップがあり、それが双乳をそれぞれ収納する。
カップの中にはイソギンチャクのようなピンクの触手が無数に生えており、それで乳房を包み込んでいく。
そして、残る一本にはバイブレーターが生えている。以前の奉仕ゲームの時と同様に、それには俺の男根を再現したものが使用されているらしい。
じっくりと主人の味を覚え込ませる趣旨らしいが、すでに愛液で満たされた秘壺へとズブズブと挿入されていった。
「はぁぁぁッ」
熱い吐息を漏らして拘束された裸体がブルルッと震える。ピッタリと根本が股間に張り付くと併設された吸引バイブもクリ×リスを吸い込んだようだ。
それらは夜の街で売られている原価数百円の大人の玩具とは違い、金持ちが淫らな趣味のために大金をつぎ込んで開発させた牝を狂い哭かすための道具だ。
それらの鱗片はこれまでも身をもって経験している彼女らは、すでに裸体を震わせていた。それは恐怖なのか期待によるものかはわからない。動力が入った途端に、悶え苦しみはじめたからだ。
「ひぃぃぃッ!!」
悲鳴のような叫びをあげて、股間からは器具の隙間からポタポタと体液を滴りはじめる。
その姿に俺とタギシさんは顔を見合わせて乾いた笑みを浮かべると、ゆっくりと握っている鞭を振り上げていくのだった。
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