淫獣捜査 隷辱の魔罠
【77】 悲しき再会
目の前には淫靡な光景があった。
四肢を広げて吊られている涼子さんに美女ふたりがまとわりついている。
女同士の交わりは男のものとは違った。愛撫のひとつひとつに、どこかネットリと絡みつくような粘りを感じさせられて、言いようのない背徳感を受けるのだ。
「あぁ……もう止めてぇ、蛍ぅッ」
悲痛の叫びをあげた涼子さんが拘束された身を捩り、背後にいる親友へと眼差しをむける。
シオと呼ばれていた時に比べて、蛍さんは随分と表情が豊かになっていた。
「ふふふ……今、止めたら気が狂うかもしれないわよ?」
乾いた笑みを浮かべて装着されたペニスバンドで涼子さんのアナルを犯す。
それに呼吸をあわせて美里さんも同じくペニスバンドによって秘裂を突き上げていく。
挿入されているのは極太のディルドゥだ。その表面には無数の棘が生えており、その先端からはトロトロと粘液が分泌されているのがわかる。
膣壁と直腸の敏感な粘膜をそれで擦りつけられると、粘液に含まれた強力な媚薬成分がジワジワと浸透させられていく仕掛けなのだ。
その効果はすでに出ており、ふたりが腰を振るたびにディルドゥに掻き出される愛液の量が増している。
全身から吹き出す大量の汗とともに足元に流れ落ちて、ビチャビチャっと床で飛沫をあげているほどだ。
「どう、初めての二本挿し……嫌がってみせているけど凄く気持ちいいんでしょう?」
「あぁぁッ、そ、そんなこと――んんッ、うあぁぁぁぁン」
「無駄よ。これに抗えないのは私が身をもって知っているわ。我慢し過ぎると本当に脳が焼き切れるわよ」
その口ぶりから蛍さんも紫堂や支配人によって同様な目にあい、肉欲に溺れさせられて心を折られていったのだろう。
彼女が言うように、どんなに心で拒もうとしても、すでに涼子さんの細腰はより快楽を得ようとして動きを止められない。
二本のディルドゥによって肉壺の奥を捏ねくりまわされ、内臓まで突き上げられて、灯された官能の炎は燃え上がる一方なのだ。
傍からみても理性を残せているのが不思議なぐらいだ。
「ほら、ほら、ほらぁッ、気持ちいいと認めなさいよ」
追い立てるように腰を振り、同性ならではの女のツボを抑えた愛撫を繰り出していく。
前に陣取った美里さんも、それに同調するように腰を打ち付けていった。
「あぁ、ごめんなさい……」
謝罪の言葉を呟く美里さんだが、愛撫の手は緩めようともしない。
しなやかな指先を細腰に這わせて滝のように汗を流す柔肌へと舌を這わせる。そうやって、何かを忘れようとするかのように目の前のことに没頭しているのだ。
「大好きだった涼子と、こうして肌をあわせられて嬉しいわ。ねぇ、気持ちいいって言ってよ」
背後から手をまわして涼子さんの顎を掴むと、蛍さんが唇を重ねてくる。
「――んんッ!?」
柔らかな唇同士が重なり合い、舌先が口腔へと侵入しようとする。
咄嗟のことに驚き振りほどこうにも、ガッシリと掴まれた蛍さんの手からは逃れられない。
せめて舌の侵入を防ごうと歯を食いしばるのだが、それをアナルを奥まで抉られて思わず唇開けてしまうのだ。
「――んむぅ…………んッ……うむぅ……」
スルリと入り込んできた蛍さんの舌は、涼子さんの口腔を舐めまわすと縮こまる舌へと絡みついてくる。
プラチナプレートの奴隷であるのは伊達ではないようだ。同性――それも親友であった蛍さんとのキスに戸惑いをみせていた涼子さんをすぐに蕩けた表情にさせてみせた。
「ふふッ、涼子の唇は凄く甘くて美味しいわ」
透明な糸を引きながら唇が離された時には、涼子さんは瞳をトロンと惚けてしまっていた。
再び、キスを求められてももう拒みはせずに受け入れてしまう。
「んッ、んふぅ……うふ……んッ……んんぅ……」
「どう、女同士でも良いでしょう?」
蛍さんは本格的に腰を振りはじめると耳元で甘く囁やきながら、ツンと釣り上がった尻肉に腰を打ちつける。
浸透した媚薬の効果によって、二つ穴はこれ以上ないぐらいに敏感にされていた。アナルを犯されることにも慣れて、すっかり肛虐の魔悦に囚われているようだ。
「あぁ、あぁン……い、いいッ……」
つい漏らしてしまった自分の言葉にも気付いていないようだ。
全身から汗を滴らせながら拘束された裸体を淫らにうねらせて、これまでの人生では得ることのなかった激しい肉悦に翻弄されていくのだ。
「それでいいわ。そろそろ派手に気をやってみせてね。そうすれば楽に堕ちれるわよ」
「そ、そんなの……あぁン……駄目よぉ……」
涼子さんは苦悶に美貌を歪ませる。だが、すぐにその口からは嬌声が漏れ出してしまう。
全身にまで燃え広がった官能の炎は、涼子さんの肉体だけでなく理性までもジリジリと灼いているのだ。
薄肉を挟んで二本のディルドゥが擦れあうたびに、バチバチと目の前に火花を散らせている。
焦点を失いつつある瞳が虚空を見上げ、体内を駆け巡る肉悦に喘ぎをあげて口端から涎を垂らしいる。
その口を今度は美里さんが吸い上げた。
「うむぅ……んふぅ……うむむむぅ……」
同性同士キスにもはや拒否感はない。柔らかな唇で塞がれた口へとつばきを流し込まれると、涼子さんは凛とした美貌を羞恥に染めながらもそれを嚥下までしてみせる。
アナル処女を奪われた後に、今度は女同士での絡みにまで馴致されていた。
そうでなくても大勢のVIP会員らが見守る中で、拘束されての公開調教という異常な状況だ。
その上、今、アナルを犯しながら肛虐に酔いしれているのは、変わり果てた親友ともなれば正気を保っているのが奇跡だろう。
「さぁ、なにもかも忘れて肉悦に溺れなさいよ。そうしたら、たっぷりと私と同じマゾ地獄を経験させてあげるから」
秘裂を犯し続けている美里さんと息を合わせて突き上げてくる。そのたびに涼子さんの身体は持ち上げられ、ディルドゥの切っ先が子宮を押し潰してくるのだ。
それによって涼子さんはキスを振りほどき、凄まじい淫泣きを響かせはじめる。その姿に周囲で見守っていたVIP会員らは大いに湧くのだった。
「あッうぅぅぅ、だ、だめぇ……そ、そんな奥まで……くぅぅン、動かさないでぇぇッ」
「こうやってグリグリされると、イイでしょう? ねぇ、お願いだから……は、はやく堕ちて下さい……」
苦悶のあえぎを放ちながら陶酔の気配をみせる涼子さんに、美里さんは焦りをみせながらも愛撫を続ける。
彼女が装着したペニスバンドは内側にも同様のディルドゥが生えた双頭仕様なのだ。涼子さんを責めると同時に美里さん自身も膣深くまで抉られているのだ。
「あッ、あぁぁぁン」
「くぅ、あぁぁぁッ」
責めつ責められて腰を淫らに振り合うふたり。その姿に、涼子さんの背後から双乳を揉みあげる蛍さんはニンマリと邪悪な笑みを浮かべていた。
腰を巧みに操っては粘っこく腸壁を削りとり、丹念に媚薬を塗り足していく。
麻薬成分を含んだ強力な媚薬は肉体を敏感に作り変えて、より強い刺激を求めるようにしてしまう。そうして、普通のセックスでは満足できない肉体の改造されてしまうのだ。
「すぐにチ×ポを見ただけで股を濡らして、肉悦欲しさに股を広げるようにしてあげる……」
「そ、そんなの……あぁぁッ、い、いやよぉぉッ」
抗いの言葉を放つ涼子さんだが、二つ穴を抉られるたびにそれは薄れていき、その口からは悩ましい啜り泣きが溢れ出す。
拘束された肉体は突き上げられるたびにビクンビクンッと痙攣して軽く逝き続けている。
「くあぁぁン、お、おかしくなっちゃう……」
与えられる刺激に膿が焼かれてしまいそうだ。だが、蛍さんの方には容赦する気配はない。
「私の行方が知れない間も、主婦として随分と幸せな生活を過ごしていたみたいね?」
それまでの憎しみを漂わせていた声から一転して、穏やかで優しい口調に変わっていた。
それが親友であった頃の本来の蛍さんの喋り方なのだろう。事実、優しげな笑みを浮かべる蛍さんの姿に、ハッと振り返った涼子さんは涙を浮かべていた。
「ねぇ、涼子……親友なら同じ苦しみを味わって共有してくれてもいいじゃない……」
蛍さんが失恋した時に傷心を癒やすのに付き合ってくれた昔話を懐かしむように語りかけてくる。
まるで親友が戻ってきたかのような甘い囁きの中には、巧みに涼子さんを渦巻く被虐の穴へと引きずり堕とそうと誘ってくる毒が含まれていた。
被虐の肉悦に溺れさせられて、ここまで追い込まれれば正常な判断もできずに、心を折れても不思議ではない状態だ。
だが、親友を助けたいという長年の想いが、涼子さんを現実から逃れさせることを禁じていた。
「あぁ、蛍……」
辛うじて涼子さんの理性を踏み止まらせると、変わり果てた蛍さんに昔の姿を重ねて涙ぐむ。
その幻想を振り払うようにギュッと瞼を閉じて首を左右にうち振わせていた。
「誓ったの……どんなことをしても貴女を救ってみせるって……」
強い意志の光を再び瞳に宿して、涼子さんは親友であった蛍さんへ宣言してみせるのだった。
(す、凄い、流石は涼子さんだッ!!)
理性を肉悦に押し流されずに見事に踏み止まってみせた涼子さん。その姿に思わず俺は拳を握りしめていた。
彼女の返事によって優しげな笑みを浮かべて惑わかしていた蛍さんの表情が固まっていた。
そのまま俯き肩を震わせはじめる姿に、涼子さんの言葉が彼女の理性を呼び戻したのをほのかに期待する。
「……蛍?」
心配するように声をかけた涼子さんだが、ビクッと震えて身を竦ませていた。
彼女の肩越しに、再び顔を上げた蛍さんが見える。目の前にいる親友の顔には、まるで般若の如き恐ろしい表情が張り付いていたのだ。
「は――ッ……まだ、そんな綺麗事をほざくのかよ……」
大きなため息とともに漏らされた言葉は、母親が華道の家元をしているような良家のお嬢様とは思えないものだった。
涼子さんに向けられる眼差しにはゾッとさせられる。それは無二の親友どころか人を見るものですらないのだ。
「なら、もう遠慮はしない。殺してくれと懇願するような生き地獄に堕としてやるよ」
空気まで凍らせるかのような冷たい怒気を放ちながら、そう宣言した蛍さんは涼子さんから身を離していった。
その途端、極太のディルドゥがズルリと抜かれ、大きく口を開いたままの肛門からはゴボリッと大量の粘液が溢れ出てくる。
「あふぅ……」
媚薬と体液が混ざりあったものを滴らせながら涼子さんはゾクゾクと身を震わせている。
それを心配そうに見つめてくる美里さんに、なにやら言葉をかけて安心させているのが見える。
(……よ、よかった、いつもと変わらない涼子さんだ)
徐々に理性の光が戻ってきた涼子さんの瞳が俺の方に向けられた。
そこに戸惑い気配を感じて、彼女を前にして奴隷にする宣言をしたことを思い出す。
(そうだった、俺の想いはもう知られてしまっているんだった……)
気恥ずかしさと、気不味さの混ざった空気がふたりを間を占める。
それを先に崩したのは彼女の方だった。少し困ったような笑みを浮かべると叱りつけるような目の仕草をしてみせる。
それは本気で怒るというよりも、イラズラした子供を叱るような優しいものだった。そこから彼女の考えを理解する。
(あぁ、わかったよ、涼子さん。全てが終わったら今度こそ逃げないよ。次は不意打ちでではなく、ちゃんと伝えるよ)
俺は彼女の瞳から逃げることなくジッと見つめ返すと、心の中でそう誓ってみせる。
それが全て伝わったわけではないだろうが、彼女はコクリと頷いて応えてくれるのだった。
(それにしても……)
涼子さんの背後で狗面の男たちに、なにやら指示を飛ばしている蛍さんに視線を向ける。
彼女が正体をあかしてからの状況を傍観させられて、当人の変わりように改めて驚かされてしまう。
(まるで別人……外見だけでなく、心もふたつの人格があるかのようだった……)
紫堂によって拐われた蛍さんを、涼子さんは刑事を辞めることになっても何年も探し続けていたらしい。
それなのに変わり果てた彼女は、涼子さんを激しく恨んでいるかのような言動を繰り返している。
(こんなにも人は、変えられてしまうものなのか?)
紫堂は最新の医療技術を使ったとは言うが、外見だけでなく中身まで激しく変えられた彼女はもはや別人といっても差しさわりはない。
シオとしての彼女はまるで人形のように表情の変化に乏しかった。ただ、俺が感じさせられた瞳に宿る静かな怒りから彼女に感情が欠けているわけではないのはわかった。
それが正しかったのは、涼子さんを相手しだした彼女の様子からも裏付けができる。ドロドロとマグマのように溜められていた憤怒の感情が今は吹き出しており、背中に彫られた鬼女のような表情を彼女に浮かばせているのだ。
(物静かな女性だった蛍さんを、ここまで変えてみせるかよ)
涼子さんが無二の親友だと俺に教えてくれた蛍さんの話と今の彼女はあまりにも噛み合わなさすぎる。
紫堂らは彼女を復讐の鬼となるように作り変えてしまったのだ。
「なかなか良い見世物だろう?」
改めて、聞かされていた支配人による調教の恐ろしさを噛みしめていると、俺が蛍さんへと視線を向けたことで隣りに座る紫堂が話しかけてきた。
(この男には、悪辣という言葉では生温いな……)
気泡の立ち昇るフルートグラスを傾けながら愉快そうに肩を揺らしている姿にムッとさせられながら、俺は同時になにかが脳裏に引っ掛かっているのに気付く。
(なんだ? なにが気になっているんだ?)
違和感という言葉が的確だろう。その原因を探るべく急に押し黙って思考をはじめた俺に紫堂と琴里は期待の眼差しを向けてくる。
そんな彼らのことも見えぬほど没頭した俺は、端から情報を整理していき原因に突き当たる。
「やはり順番が変だな……」
蛍さんが拐われ、涼子さんの捜査によって紫堂が容疑者に浮かび上がる。
その後に涼子さんによって紫堂は別件逮捕されるわけだが、俺が涼子さんから聞いている話では、その逮捕の際に紫堂を投げ飛ばしていることになっている。
この時から紫堂は涼子さんへの監視人員の張り付きと、蛍さんの憎悪をかき立たせるための行為をしている訳だが、この時点では彼はまだ檻の中なのだ。
(こんな入念な計画の指示や実行を、牢屋に入っててできるものなのか?)
この男が、そんな愉しいことを人任せにする訳がない。絶対に自分が中心になって立案に関わっているはずだ。
そもそも蛍さんが拐われたことも偶然なのか? そんな行き当たりばったりではなく、涼子さんへ復讐に最適な人材として選ばれたように感じられてしまう。
(じゃぁ、紫堂が嘘をついているのか?)
いや、海外にでる前から調査していたことを認めたものの、それがいつなのかは彼は言ってはいない。
ただ、紫堂が述べたのは彼女に投げ飛ばされた時からっと言っただけなのだ。
「…………涼子さんに投げ飛ばされたことが、逮捕以前にある?」
俺の漏らした呟きに、紫堂と琴里は顔を見合わせて意味深な笑みを浮かべていた。
特に紫堂は満面の笑みを浮かべて子供のような喜びようだ。
「やはり凄いな。ここまで気付くとはのは八咫(やた)並みの考察力だな」
「でも、八祥くんは性格的に紫堂くんとは正面からやり合わないものね」
『八咫』という言葉には聞き覚えがある。この施設で出会った濡羽 八祥(ぬればね やしょう)さんの通称だ。
情報屋だという彼からは名刺までもらっていて、それはローブのポケットにしまっておいたはずだ。
周囲にいた会員たちの反応からも只者ではないと思っていたが、紫堂との繋がりがあるのなら腑にも落ちる。
そんな彼と比べられていることの意味がよくわからないが、少なくとも紫堂の期待にはまだ応えられているようだった。
「あぁ、悪いな。ルーキーの呟きに関しての返答はイエスとだけ答えておこう」
なにやら含みをもたせた返答だった。それに関しては問い質そうとする俺を紫堂は止める。
「質問はひとまず中止にしようか。これからのは見ておいた方がよいからな」
美里さんが引き剥がされた涼子さんに、再び口枷が噛まされていた。
「ぐッ、うぐぐぅぅ……」
真紅のゴムボールを使用したボールギャグだ。彼女の口腔に収まりきれず、顎が外れんばかりの大きさに唇が強引に押し開かされる。
彼女の四肢を掴んでいたロボットアームも動き出す。
床に尻をつかせると両手を自由にする。だが、それも一瞬で屈強な男たちによって背後に捻りあげられて、素早く拘束されていく。
アームバイダーによって両腕が完全に封じられると、そのまま上体を横にされてしまう。
残ったロボットアームが両脚を吊り上げてV字に広げると、隠せない股間を蛍さんの前へと突きだすポーズにされた。
ディルドゥで犯されていた秘裂とアナルはポッカリと口を開いたままで、今だに体液を滴らせているのだった。
「あれを……」
狗面を被った男のひとりが頑丈そうなアタッシュケースを取り出す。そこから取り出したモノには見覚えがあった。
――リグラー
そう名付けられた異形の淫具だ。パッと見た目は、習字に使われる筆の先だろうか。
漆黒の塊が蛍さんの手のひらに置かれると、モゾモゾと蠢き始める。まるで花の蕾のように広がったそれは、複数の脚をそなえた蜘蛛のようであった。
ただし、それはロボット工学やらの最先端技術で人工に造られたものだ。
莫大な金を注ぎ込まれて造られたリグラーに求められているのは、女を悶え苦しめることだけだというから呆れるほかない。
だが、その効果は地下施設に入る前に涼子さんも美里さんも身をもって体験しているのだった。
「――ひぃッ!!」
特にそれで処女を奪われている美里さんの反応は激しい。逃げ出そうと駆け出したところを、首輪の電撃で防がれてしまう。
倒れ込んだところを男たちに両腕を掴まれて引き戻される。そうして、彼女もすぐにアームバイダーによって両手の拘束が施されてしまうのだった。
その両脚もまたロボットアームによって吊り上げられると、大股を開かされた状態にされてしまうのだった。
「いやッ、それはもう嫌ぁぁッ」
よほどトラウマになっているのか半狂乱となって、いまだに逃れようと暴れる。
だが、ガッシリと掴むロボットアームからは逃れることはできない。
泣き叫ぶ美里さんにもボールギャグが噛まされるのだが、リグラーの登場で、それが言葉を封じる目的ではなく、舌を噛み切らない為なのだと、ようやく理解したのだった。
「んぐぐぅ……」
涙を浮かべる美里さんに見せつけるように、手のひらの上でリグラーが蠢く。
長い脚に見えるものは自在に曲がり、動きとしてはタコの触手の方が近いだろう。
以前に見たものとはサイズが随分と小さいように見える。
以前のは膣内に全てが収まりきらず一部が外にはみ出るほどだった。
それに比べて今回のは、小さな女性の手のひらに乗りきるレベルなのだ。
「前回のヤツは試作機で、今回のが本来の完成形だよ」
俺の疑問に即座に紫堂が説明してくれる。試作機の段階では小型化が出来ておらず、データ収集の通信のために一部が体外に出ていたというのだ。
(こちらが完成したリグラー……)
確かに小型化はされている。電源が入っているだろう胴体は小さくなり、毛むくじゃらの脚は随分と細く長くなっている。お陰で丸まった状態では随分とコンパクトだった。
以前の試作機が巨大なタランチュラだとすれば、完成機は痩せ細ったタカハシグモといったところだろう。不気味さと迫力では遥かに以前の方がインパクトが強い。
それが顔に出てしまっていたのだろう。紫堂が不満そうだなっと苦笑いを浮かべていた。
「あッ、いや、その……」
その身で体験する涼子さんたちのことを考えれば弱い方が良いに決まっている。それなのに嗜虐者側でつい俺はものを考えてしまっていた。
「目的が違うから形状が異なるのはしょうがないさ」
「……目的?」
その間にも、二台の完成形リグラーは涼子さんと美里さんの秘部へと近づけられていた。
「ひゃ、ひひゃぁぁッ」
「ひゃめへぇぇッ」
手のひらから長い脚を伸ばして秘裂へとかけると、まるで快適な巣穴を見つけたように身軽な動作で膣洞へと飛び込んでいった。
「んぐぅぅぅッ!!」
「んん――ッ!!」
試作機のメリメリと無理やり押し広げて入り込んでいった時に比べると、今回は拍子抜けするぐらいにアッサリと終わってしまった。
彼女らも少し戸惑いをみせているほどなのだが、すぐに異変が起こる。
「んおおおッ!!」
「おほほぉぉッ!!」
涼子さんたちの身体が弓反りになったかと思うと、まるで陸地にあげられたエビのように身を暴れさせたのだ。
「い、いったいなにが!?」
「分かり易いように、モニターに映させようか」
紫堂の指示により、頭上に投影されていた映像が変化する。
そこには二人の身体を透過したものが表示されるのだが、長い脚を触手のように蠢かせて膣の奥へと進む異物の様子がズームされていく。
それは子宮へと到達すると脚で入口を押し広げて、今度は胴体から内部へと潜り込んでいくところだった。
タコのような器用さで子宮内に侵入すると、楔を打ち込んで胴体を固定する。
そうして、全ての脚を折り畳んで子宮内にスッポリと全身で入り込んでしまうのだった。
「完成したリグラーは常駐型だ。半永久的な子宮内巣食うんだよ」
「……えッ?」
一過性ではなく、子宮内に居続ける淫具だというのだ。
体内に寄生した異物の姿に、俺はおぞましさを感じ得ずにいられないのだった。
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