催淫染脳支配

【4】 暴走する欲望

「それじゃぁ、約束だから教えてあげないとねぇ……うふふ、ちょっと見せたいものがあるから、来てよッ、」

 ソファから立ち上がった莉乃は、ニヤニヤと含み笑いをしながら手を差し出してきた。お淑やかで深窓の令嬢を絵に描いたような以前の彼女からは、想像もできない嫌な笑い方だった。
 わずかに眉をしかめてしまう潤であったが、ようやく話をする気になった彼女の機嫌を損ねたくはなく、今は黙ってその手を掴んでいた。
 だが、立ち上がろうとした途端、意思に反して膝がカクンと崩れてしまう。

「え? あれ? なんで……あ、足に力が入らない」

 まるで腰か抜けてしまったように下半身に力が入らないのだ。
 どうにか莉乃の手を借りて立ち上がったものの、まるで生まれたての小鹿のように脚がガクガクと震えてしまう。莉乃に、しがみついてないと立っているのもままならない状態であった。

「どうやら、お酒で酔っちゃったみたいだね」
「でも、一杯だけだよ……」
「案外アルコールには弱い体質なのかもしれないね。ちゃんと喋れてるし、問題ないよ」

 なにか腑に落ちないといった様子の潤の腰を引き寄せて、莉乃は密着を増す。その一方で、密かに乾いた笑いを浮かべていた。
 確かに彼女の言うとおり、先ほどの飲んでいたロングアイランド・アイスティーが原因だった。
 このカクテルは紅茶を一切使用せずに風味を再現しているのだが、ウォッカが使われて非常に強いお酒でもあるのだった。
 レディ・キラーと呼ばれるほど、女性を酔わせるのに使われることもあるので、当然、お酒に免疫のない潤が飲めばこうなるのは当然の結果だった。

「大丈夫?」
「う、うん……」

 そう尋ねるものの歩き出した莉乃は止める気はないようだ。潤を連れて移動したのは、先ほどの黒い椅子の前だった。
 支えていた潤を下ろして、椅子へと座らせる。酔いが更にまわってきたのか、頬をピンク色に染めて力なく椅子へと身をあずけてしまう。
 そのバスローブが乱れて、上気した太ももが根元近くまで露出していた。だが、莉乃は笑みを浮かべるだけで直そうともしない。
 あらかじめ近くに用意してあったペットボトルを手に取ると、ミネラルウォーターをコクコクと喉を鳴らして美味しそうに飲んでいった。

「あーッ、美味しい……ねぇ、潤ちゃんにもあげるね」

 再びペットボトルに口をつけて中身を口に含む。すると、そのまま潤の唇へと重ね合わせた。

「え、ちょ、ちょっと莉乃……んんッ……ぷはッ……やめて……ん、うんんッ……」

 突然のことに慌てふためく潤だが、押し返そうする両腕も力が入らず、簡単に押し退けられてしまう。そのまま頭上で手首を重ねられて、片手で押さえつけられてしまった。
 ならばと首を捻ろうとすれば、顎を掴まれて引き戻されて、再び唇を吸われてしまう。
 既に水を与える大義名分は捨てられていた。莉乃は口腔へと舌を侵入させて、欲望のままに存分に堪能していた。

「あぁ……やめ……うふん……あン、ダメぇ……」

 怯えたように縮こまる潤の舌へと自らの舌を絡ませて、唾液をまぶしては吸い上げる。そうして歯茎や歯の裏側など舌先を這わせて、あますことなく堪能していくのだった。

「あぁ、潤ちゃん……」

 相手の名前を唱えては、その存在を確かめるように口付けを繰り返す。
 今の莉乃には相手の全てが愛しく甘露に感じられていた。それが嬉しくて、さらに行為に熱をいれていくのだった。
 気がつけば潤の抗いもおさまっていた。掴んでいた顎を離しても、もう顔を背けようともせず、蕩けさせられた肉体をクッタリとさせて甘く切ない吐息を洩らしている。
 それだけでなくキスをされるとウットリと瞼を閉じ、莉乃の舌にエスコートされながら、ぎこちなくも自らの舌を絡めてきたのだ。
 その嬉しい反応に莉乃の興奮は益々昂っていった。

「んッ、うふン……あぁン、いやん……」

 潤の両手を押さえつけたまま、莉乃は片手でもどかしげにバスローブの腰ひもをほどいていく。邪魔な生地を引き剥がして、露出した乳房へと触れていった。
 そのタッチは繊細で、愛しむようであった。Cカップの肉感を確かめるように優しく揉みあげる。そして、乳丘をなぞるように指先を這わせると、ゆっくりと円を描きながら頂を目指していく。
 すでに官能の扉を開かれた初々しい肉体は、莉乃の与える刺激に敏感に反応してくれる。
 悩ましい声を健気にも堪えようとする姿に嬉しそうにする莉乃だが、徐々に口端をつり上げて残忍な笑みへと変えていった。

「ん、んッ……あふぅ……あぅン……」

 徐々に迫る指先を期待するように硬く尖った乳首が揺らされる。
 だが、期待する刺激が与えられる寸前で、莉乃の指は柔肌から離れてしまった。

「あぁン、なんで……」

 切なさに思わず閉じていた瞼をひらくと、そこには意地の悪い笑みを浮かべた莉乃の顔があった。

「あれぇ、どうしたのぉ? そんな切なそうな顔して」

 肉欲に溺れた自分に気づき、潤はあまりの恥ずかしさに顔を背けようとする。だが、再び顎を掴まれて引き戻されてしまう。
 ジッと見詰めてくる莉乃の冷たい目。その瞳には、嗜虐の炎がチラついていた。
 その視線に耐えきれずに、潤は目だけでも逸らそうとするのだが、そんな姿も莉乃の嗜虐欲を刺激して喜ばせていた。
 目の前にある羞恥で真っ赤になった潤の耳。それに舌をネットリと這わせて甘噛みをしては、喘ぎ悶える姿を堪能する。

「あぁぁン、だめぇぇ」
「なにがダメなの? 言ってくれないとわからないなぁ」
「あッ……あぁ……いやン、許して……」

 耳許で囁かられるだけでも熱い吐息がかかり、堪えきれずに喘ぎ声を洩らしてしまう。その上 、再び肉体を焦らされて、潤はすぐに追い詰められてしまう。
 悶え哭く潤の姿にフツフツと沸き上がる昏い喜び。ゾクゾクっと快感に身を震わせる莉乃は、既に自分でも歯止めが効かなくなっていた。

「はぁ、はぁ……ふふふ、だーめーッ」

 潤の腰からバスローブの紐を引き抜くと、押さえつけていた両手首を素早く縛ってしまう。更に高い背もたれの上部金具へと通して、吊り上げてしまうのだった。

「あぁ、なにを……うむッ……んんッ……や、やめ……んぐ、んんーッ」

 抗議の言葉も再び唇で塞ぎ、自由になった両手で潤のバスローブを左右に引き広げて、下半身まで完全に露出させる。
 口腔を舌で蹂躙する一方で、両手で乳房をまさぐり、掌で捏ねくりまわしていく。
 そうして潤の脚の間に膝を割り込ませて、グリグリと股間を刺激していくのだった。

「――んッ、んんッ……いやン……もう、やめて……こんなの嫌なの……」
「潤ちゃんはやっぱりウソつきだよね。そう言いながらも、私の膝が潤ちゃんのエッチな汁で、どんどん濡れてきてるんですけどぉ」

 冷たい視線を浴びて、潤は弱々しく首を振ってみせる。
 だが、今度は莉乃の右指が股間を触れはじめると、それをする余裕すら無くなった。

「あン、だって……ひンッ、そ、それは、だめぇぇ」

 少し濃い目の茂みを掻き分け、莉乃の指先が肉芽を探し当てる。まだ皮を被った状態で触れただけでも、潤の腰は激しく跳ねてしまう。

「ふふッ、あんなに空手が強いのに、私の指先ひとつで、こんなにビクビクって震えちゃって……じゃぁ、こうしたら、どんな風に反応してくれるかなぁ」

 溢れでる愛液を指先にまぶして、ゆっくりと包皮を剥いていく。
 外気に晒されるだけでも刺激があるのだろう。限界まで引かれた潤の腰がガクガクと震えてしまう。

「ほぅら、可愛らしいクリ×リスが顔を出したよぉ」
「あッ……だ、だめだよ……そんなの……あぁ、耐えられないよぅ」

 自分でも直接触れたことが、ほとんどないのだろう。包皮の上からでも潤には充分過ぎる刺激なのだから、それ以上となると想像もできず、未踏の領域の刺激に恐怖していた。
 普段は勝ち気な眼差しが、眉をハの字に寄せて涙目で必死に訴えてくるのだった。

「じゃぁ、潤ちゃんは嘘つきってことで良いよね? エッチなこと大好きだって認めるよね」
「なにを――ひッ、ひぐぅッ……あぁ……わ、わかったから……」
「じゃぁ、認めるよね?」

 少しでも否定しようとすると、容赦なく肉芽を爪先で弾かれてしまい、悶え苦しまされてしまう。
 空手がいくら強かろうが、女の官能の急所を責められては耐えられるものではなかった。

「ひーッ……み、みとめ……あぁン、認めるからぁ……くぅン……アタシは……あぁぁ、エ、エッチなことぉ……大好きなのぉぉ」
「へーッ、じゃぁ、こうやって可愛がってもらえて嬉しいよね?」
「そんなこと――ぐぅぅッ……う、嬉しいッ、嬉しいですぅッ」

 何度も繰り返されるうちに、否定の言葉も出なくなってしまう。もはや自分が何を言っているかも判断できなくなり、ただ莉乃からの問いに必死に同意するだけになっていた。

「じゃぁ、もっと虐めて欲しいよね?」
「は、はぃ……あぁン、もっと潤のことを虐めてぇ」
「うん、喜んで虐めてあげるわ。それじゃぁ、エッチが大好きな潤ちゃんをもっと悶え狂わせてあげるね」

 次の瞬間に肉芽を摘ままれて、潤の腰が跳ね上がり、宙に浮いていた。

「ひッ、ひぃぃぃぃッ」
「ほらぁ、逝ッちゃいなよッ」

 そのまま指の間でシゴかれて、椅子の上で潤の身体が限界まで仰け反った。
 ブリッジ状態で愛液を撒き散らしながらガクガクと腰が跳ね続ける。
 涙を浮かべた眼が虚空を見据え、口端から涎を垂れ流しながら、悲鳴のような喘ぎ声をあげ続けた。
 そして、すぐに限界へと到達するのだった。

「あぁぁぁ、らめぇぇぇッ」

 絶叫とともに一際大きく跳ねた状態でピタリと静止する。
 静寂が訪れ、一息おいて操り糸の切れた人形のように潤の身体が崩れ落ちた。
 あまりに強烈な刺激に耐えきれずに、潤は絶頂を迎えて気を失ってしまったのだった。
 それを満足そうに見下ろしながら、莉乃は右手を濡らした潤の愛液を美味しそうに舐めとっていく。

「あーぁ、また、やり過ぎちゃった……ふふッ、でも、またご主人様に……お仕置して……んンッ……もらえるから……あぁン……嬉しいなぁ」

 自らのバスローブの中へと指を差し入れると、莉乃は指を這わして上気した柔肌へと潤の愛液を塗りつけていく。
 そうしているうちに、はだけたバスローブが肩からずり落ちて双乳が露になる。その先端で銀色に輝くのは、乳首を貫通するリングピアスで、照明の光を浴びて妖しく光を放っていた。

「あぁン、いいッ……」

 指先が秘部へと到達すると秘裂を掻き分けて挿入される。クチュクチュと淫らな水音を響かせて肉壺をかき回しながら、少女はウットリと陶酔の表情を浮かべた。
 そうして、ひとり淫らに腰を振り続けて昂らせた肉体を慰めるのだった。


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