漆黒の獄舎
【4】 淫魔が集う宴
股間を蹴りあげられて床で悶絶する高過に、同じ男として同情してしまう根津はしかめた顔を手で覆ってしまう。
「えげつないほど容赦がないなぁ……お前さん、性に対して潔癖症すぎるよなぁ」
いまだに口枷を外せずにいる翠は、問答無用とばかりに詰め寄ると根津のネクタイを掴んだ。だが拳を振り上げたところで、その動きを止めてしまう。
彼女が凝視する先、人混みの中に見知った人物を目にしたからだった。
翠によく似た容姿の女がいた。ただし野性味溢れる凛々しい翠と違い、柔らかな顔立ちから穏和な性格が滲み出ている。
(なんで……なんで楓がここにいるの……)
ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべる男の膝の上にのせられた最愛の妹がいたのだ。
しかも翠と同じくバニーガール衣装を着せられ後ろ手に拘束されている。
そして、チョーカーから伸びる鎖を持つ男に背面座位で貫かれていたのだ。男の膝を跨ぐように大きく開かれた股間では、男のたくましい男根を咥えこんで愛液を垂れ流す秘部が視認できてしまう。
そして、妹を貫いている男こそが暴行事件を起こしたアイドルの豪多であるのに気がつくのだった。
(どうして……そんな男と……)
実家で養生しているはずの妹が目の前にいるのが理解できなかった。ましては一度暴行を受けた男を相手に変態的なセックスしているのだ。
それでも無理矢理に犯されているなら納得もできよう。だが、嬉しそうに快楽を貪り、卑猥に腰を振っている姿は強制されたものではなかった。
彼女が知る妹からは想像もできない淫靡な痴態に、思わず茫然自失してしまう翠であった。
その間に、駆けつけた他のボーイたちによって翠は簡単に取り押さえられてしまう。
改めて鉄柱の間に引き戻されると四肢を広げた状態で拘束されていった。
鉄柱から鎖が巻き取られ、手足が左右に引かれていく。そして、ピンと張った鎖によってX字のポーズから身動きが取れなくされてしまうのだった。
ショックから抜け出せぬ翠の前に根津が立つ。艶やかな長髪を掴んで美貌を引き上げて覗き込んできた。
「お前さんにとって、芸能人のスキャンダルをあげるのは腐りきった芸能界への制裁だったんだよなぁ、だが、蓋を開ければ当事者同士は仲良く腰を振り合ってるんだから、お前さんを支えていた正当性はどうなるんだろうなぁ?」
実際には妹の楓は録画された暴行時の映像で脅されて、男に調教を受けさせられたのだ。
当初は抵抗の意思を見せた楓であったがセックスドラックを併用した度重なる激しい調教により、今では心身ともに性奴隷へと堕とされてしまっていた。
妹を信じるのであれば、その事も考えつく翠であったが、極限状態下でのこの異常な空間の雰囲気に知らぬまに呑まれて正常な判断が下せずにいるのだ。
(やはり、何事にも準備はしておくものだな)
翠によく似た女を連れてる人物がいるとの情報から剛多に接触していた根津だが、実の妹という手札を手に入れられたのは大きかった。
姉の存在に大いに興味を持った剛多の協力も得られ、もしもの為に待機してもらっていた。一時的に行動不能できれば良かったから、効果は充分に果たしてくれたと言えるだろう。
根津は豪多と乾いた笑みを浮かべあうと、スーツを脱ぎはじめた。
緩んだ中年の肉体とは裏腹に、使い込まれた巨根が姿をあらわす。
幼子の腕ほどもありそうな肉棒は浅黒く淫液焼けし、埋め込まれた真珠によってゴツゴツと無数のコブができている。
大きく傘開いた亀頭からはトロトロと透明な先走り汁を溢れださせ、むせかえるような強い性臭を撒き散らしているのだった。
「ようやく五年越しで、こいつをお前さんにぶちこめるな、たっぷりと楽しませてもらうとするか」
「うぅ、うぐぅぅッ」
イヤイヤと首を振って口枷の下で嫌悪の呻き声をあげる翠。その姿に興奮を高めた根津は、ゆっくりと怒張を押しつけて、挿入していった。
「うむ……へへッ、ついに入ったぜ、まだまだ濡れてねぇが、すぐに気持ちよくしてやるよ」
「うぐぅぅッ、うむぅぅッ」
ドスドスと腰を突き上げながら挿入を深めていく。剥き出しの乳房を揉みたて、乳首を押し潰すピンチの鎖を引いては激しく刺激する。
涙に濡れる美貌に舌をはわせて唾液で濡れ汚しながら、翠を犯してるのを実感しては満足げにニタリと笑うのだった。
「おらッ、おらッ、だんだん滑りがよくなってきたぞ」
次第に結合が深まり、肉洞がほぐれてくると本格的な打ち込みを開始された。
苦悶の呻きをあげる美女を犯す醜男の姿に、圧倒されていた周囲の観客も次第に興奮を高めていった。
大勢がセックスをする淫靡な空気の中に、それに合わせて音楽が開始されて宴が再開される。
「どうだ、少しは感じてきたか? ははッ、これから嫌というほどチ×ポを咥え込むんだからな、まずは俺の味をたっぷり味わえよ」
「んんーッ、んぐぅぅぅッ」
射精の気配を感じて翠の抵抗が激しくなる。
だが、四肢を引き伸ばす鎖がキシキシと軋むだけで、阻止することなど出来ない。
「くッ、おらッ、おらッ、子宮から溢れるほど注いでやるから孕みやがれッ」
「んんッ、んぐぅぅッ」
口枷の下で嫌悪の呻きをあげる翠。その甘美な肉体へと深々と楔を突き入れた根津は、腰を震わせて白濁の精液を存分に放出する。
この日のために精力をつけて溜め込んでいた。二度と三度と大量に噴出して、ドロドロの濁液で翠の膣内を満たしていった。
あまりの量の多さに男根を咥えこんだ秘唇の隙間から逆流した精液が溢れでるほどであった。
根津は激しい快感に身を震わせながら歓喜の笑みを浮かべた。そんな根津に涙を流しつつも俯いていた翠が、気丈にもギッと睨みつけた。
(絶対に許さない、この男も、ここにいる全員、絶対に許さないッ)
謀らずとも根津に犯されて自身も被害にあったことで翠の闘争本能に火がついていた。
だが、その心中を把握する根津もまた、その反応に喜びを見せていた。
「おうよ、オレを恨め、ここにいる全員を恨んでみせろよ。そうすれば、その間は心が折れないでくれるだろうからなぁ」
愉快そうに肩を震わせる根津は、翠の背後へと目配せすると邪悪な笑みを浮かべる。
「ならよぉ、こいつも恨むのか教えて欲しいがな」
その言葉を合図に翠の背後から抱きついてくる者がいた。
柔らかく細い指が柔肌をまさぐり、首元に舌が這わされる。熱い吐息を吹きかけながら、耳を甘噛みしてきたのは妹の楓であった。
「うふふ、お姉ちゃん。もっともっと気持ちいいことしてあげるね」
「んんッ、うんんッ」
背後から豊乳を鷲掴みすると、柔らかなタッチで揉み上げていく。その同性ならではのツボを抑えた刺激は、徐々に翠の官能を惚けさせていく。
姉妹での許されない行為を止めさせようと必死に訴える翠であるが、楓は意に介した様子もなく愛撫を繰り返した。
(あぁ、やめて……あぁン、楓……ダメだよ、姉妹で……うぅン……こんなこと……)
いくら心で拒もうとも肉体は徐々に反応してしまう。甘く切ない媚泣きを洩らしはじめるのに時間は掛からなかった。
「おいおい、妬けちゃうね。妹とちちくりあって感じちゃってるじゃぁねぇかよ」
「うぅぅ……うふぅ……」
根津の嫌味にも反応できないほど官能を蕩けさせられて、熱く潤んだ瞳を見せてしまう。
背筋に這い降りる舌先にゾクゾクしてしまう。それが、張りのある尻肉を押し広げ、その谷間へと入り込んできた。
(あぁ、ダメッ、そんなところ舐めないでぇぇ)
ピチャピチャと仔犬のように舌を走らせ、硬く綴じた菊門をほぐしていく。そして、その舌先を内部へと侵入させてくるのだった。
「ふーッ、うふぅぅッ」
ズボズボと挿入を繰り返す舌先に、震えが止まらなくなる。切なげに振られる尻谷へと顔を埋めた妹によって、未知の肉悦を覚えさせられてしまっていた。
ボーッとしだした頭は、より快楽を得たいと強く思ってしまう。
わずかに残っていた理性がそれを押し止めようとするのだが、指を挿入されはじめるともうダメだった。
「おぉぅ、前もすげぇ締め付けてきやがる。そろそろ限界だ、俺も参戦させてもらうぞ」
挿入したままだった根津の剛棒だったが、妹によるアナル責めで狂わされていく姉の姿に興奮して復活していた。
強烈な締めつけをする膣壁を堪能するように、ゆっくりと出し入れを繰り返す。すると翠の反応が激しいものへと変化しだした。
鼻息を荒くして、より刺激を得ようと自らも淫らに腰を振りだしたのだ。
その反応にニンマリすると楓を背後から操っていた剛多へと合図を送る。
「うふぅン、うん……」
離れていった妹の舌を追うように、翠の尻が切なげに振られる。
だが、次の瞬間には楓が装着していたぺニスバンドの切っ先が、菊門へと押し当てられていた。括約筋を押し広げてズブズブと抵抗なくディルドーが挿入されていく。
「あぁン……お姉ちゃんのお尻にアタシのが入ったよ……ほらぁ、わかるでしょぉ」
「んんぅン……うッ……うふン……」
細身のディルドーとはいえ、はじめてのアナル挿入を翠の肉体は素直に受け入れていた。
タイミング合わせて前後から深々と突き上げるたびに翠の身体が跳ね上がる。
ギュウギュウと強烈に締めつける膣壁に、流石の根津も徐々に追い詰められていた。
「よしッ、また注いでやるからなッ、今度こそ逝けよ……くぅぅ」
「あぁん、お姉ちゃん……うふン……アタシも……アタシもぉ、いっちゃうぅぅ」
背後で絶頂を迎えた楓に引きずられるように、翠も絶頂へと押し上げられた。
「うぐぅぅ……うぐッ、うぐぅぅぅぅッ」
膣奥に撃ち込まれる白い濁流を受けて、翠は顔を仰け反らせると絶頂の呻きをあげる。拘束する鎖をキシキシと軋ませながら全身を痙攣させると、股間から透明な飛沫を放つのだった。
根津もそれを見届けると追い討ちとばかりに、残りの射精を子宮へと注ぎ込んだ。
エレベーターで最上階へと向かった根津は直通になっているVIPルームに降り立った。
テニスコートほどの広さの部屋の窓からは吹き抜けになった階下のホールを見渡せる特等席だった。
そこで椅子に座って根津を出迎えたのは、若き代議士である静馬であった。
三十代になったばかりで甘いマスクで幅広い世代の女性に人気の彼だが、今は白いバスローブ姿でリラックスした様子だった。
その足元には全裸の女が跪いてた。凌辱の跡が刻み込まれた柔肌にはむごく麻縄が食い込み、見事なプロポーションを誇る肉体を無惨に変形させていた。
首輪から伸びる鎖を静馬に握られて一心不乱に股間へと顔を埋めているのだ。
根津は、それが今年の主演女優賞を受賞してハリウッド映画への出演も決まっている若手女優なのに気づく。
「やぁ、師匠。思い焦がれた相手に、いつもよりハッスルしてましたね」
「その師匠っていうのは止めてくれねぇか? こっ恥ずかしくってしょうがねぇ」
「なにを言ってるんですか、こうやって女の扱い方を教えてくれたのは師匠じゃないですか」
口唇奉仕をする女の光沢のある長髪を掴むと、まるでオナホールのように荒々しく頭を振ってしごかせる静馬に、根津は肩を竦めてみせる。
大学時代はプレイボーイとして名を馳せた静馬は、悪友たちと夜の繁華街に繰り出しては、より刺激を求めていた時期があった。
そこで根津と偶然知り合うと、意気投合して彼からのサドマゾについて学んだのだ。
その交流は大学を卒業後も続き、父親の地盤を引き継いで代議士になっても変わらなかった。
この店も根津のアドレスで静馬が造ったのもので、自分の性癖を存分に発散できる場所を得るとともに、同じく世間の目が厳しい者との社交の場としたのだった。
それを邪魔しようとする者は容赦なく排除する徹底ぶりで、彼にとっての聖域でもあるのだった。
「今回も協力をありがとうございました。お陰で大事になる前にトラブルの芽を摘み取れましたよ」
「いやいや、ついでだからな。こちらも利用させてもらっているんだ、気にしないでくれや」
「でも、よかったのですか? あの女に、ご執心だと伺ってましたが」
静馬が向ける視線の先には、ホールの中央に拘束されたままの翠の姿があった。
二本の鉄柱の間で鎖によってX字のポーズに固定されている彼女に大勢の人間が列をなして群がっていた。その多くが芸能関係者で、俳優やアイドルにまざって芸能事務所の経営者の姿まであった。
それぞれが憎しみ混ざった好色な表情を浮かべ、責め具を持って今宵の生け贄に殺到しているのだ。
「まぁ、アイツにスキャンダルを暴露されて恨みを持つ者も多いからな。友人が路頭に迷わされたり、せっかく育てた金のタマゴを潰された者たちだ、ここは楽しみを共有しないとなぁ」
前後から鞭打ちされて全身に赤い痕を刻まれた翠は、大量の浣腸で無様に人前で排泄させられてから、前後から犯されていた。
「ここまで入念に時間をかけて準備したんだ、それ以上に、たっぷりと時間をかけて楽しませてもらうさ。もう、日の当たる場所にでることもないアイツに、女に生まれたことを後悔するような生地獄を堪能させてやるさ」
すでに静馬の指示で、翠の住居から荷物の運び出しが行われていた。じきに行方不明者のリストにもあがるだろうが、彼女の名は大量に並ぶ一文として埋もれていくだろう。
それは、これから姉妹揃って地下に用意された牢獄で一生飼い殺される手筈になっているからだった。
一度狙った獲物に喰らいついたら離れない、そんな根津が周到に準備したこのビルこそが翠に対しての罠であり牢獄であったのだ。
「たしかに、あの女にしてみれば、ここは地獄でしょうね」
淫鬼たち囲まれて貪り尽くされる悲惨な女の姿は、まさに地獄絵図だった。
そして、その陰惨な光景を見下ろして、乾いた笑みを浮かべ合う根津たちもまた同類であるのだった。
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