隷属の交換契約 ー変えられた僕の幼馴染みー

【7】籠絡されていく心

「あれ? なんだろう……なにかが違う……」

 次の動画ファイルを再生して、すぐに違和感を感じた。
 いくつもの映像の中でも出てきたラブホテルの一室、それなのに何かが違う気がする。
 室内では、南波がひとりベッドに転がりくつろいでいる姿が映っている。しばらく、それを観ていて違和感の正体に気がついた。

「あぁ、カメラの視点が違うんだ」

 いつもの映像は、ドラマのように被写体に寄って撮影されてたのに対して、今回は監視カメラのような定点からの撮影だった。
 時折、画面が切り替わるから複数台のカメラがあるのだろう。死角がないよう配置されて、天井から見下ろすものまであった。
 しかも、そのカメラの存在がわからないよう巧妙に隠してあるために音の拾いが悪かった。

「隠しカメラで盗撮しているのか? でも、なんで……」

 その疑問は、すぐに解消することになる。
 来訪者を知らせるノックに、それまでベッドの上でだらけてスマホをイジっていた南波が、飛び起きた。
 事前に用意してあったらしい薬用カプセルを水で流し込むと、怪しげな小瓶を枕の下に隠す。
 そうして、最後に鏡で身だしなみをチェックすると、喜々として入り口に向かった。
 招き入れた来訪者は、私服を着たポニーテール姿のミカ姉だ。
 白いニットのセーターに、赤黒チェック柄のミニスカート、それにどうやらガーダーで吊られていた黒のストッキング、その服の組み合わせには見覚えがあった。

(僕が退院する前日……ミカ姉とキスをした時と同じ服装だ……)

 大人ぽい服装でドキドキさせられた姿の彼女は、部屋の中へと招き入れられると、いたのが南波ひとりなのに戸惑っているようだった。
 どうやら来る途中で、他のふたりからもそれぞれ呼び出しがあったらしい。別々の場所を指定されてたので、最初に連絡のきた南波の元へと来たようだ。
 さらに、いつも太々しいアイツが、申し訳なさそうな表情で謝罪してきたのだから、ますます困惑するのは当然だろう。
 どうやら、先の映像にあった他の二人による連続絶頂の拷問、それを止められなかったことを、ひどく悔やんで、謝罪しているようだった。
 普段の傲岸不遜な姿を知っている者からすれば、南波が頭を下げるとかあり得ないと知っているから、その謝罪には驚かされる。

「いやいやッ、さっきまでベッドでスマホみて笑ってただろう」

 普段からは想像もできない誠実そうな態度を取ろうとも、寸前までの真逆の姿を観ている僕には、それが演技であると分かってしまう。
 だけど、それを知らずにいるミカ姉は違う。
 突然の謝罪に驚き、戸惑い、それらが落ち着けば 怒りが込み上げてくる。
 屈辱的な撮影を強いられて、処女を散らされ、代わる代わる犯された。怒鳴り散らして、それまでの鬱積を晴らすかのように拳がでるのも当然だった。
 それを南波は避けもせずに黙々と受け止めた。
 殴られ続ける南波の姿に、ついにミカ姉もその場で肩を震わせて泣き崩れてしまう。

「あぁ、可哀想なミカ姉……僕が慰めてあげられたら……」

 だけど、その役すらも南波は僕から奪ってしまう。
 優しく自分の胸に引き寄せて、強く抱きしめる。
 その上、実は好きになってしまったのだと愛の告白までしてきたから驚きだ。
 戸惑う中で次々と優しい言葉を掛けられて、ついに堰を切ったようにミカ姉が大声で泣き叫ぶ。
 いままで孤立無援で弱音も吐けず必死に耐えていたのだから、そんな所に優しくされて、愛を囁かれたら、こうもなるだろう。
 もしかしたら、正常な状態なら猜疑の目を向けて警戒してくれたかもしれない。だけど、心身が弱りきった今の状態では、容易に心の隙間に入り込まれてしまう。
 元々、お人好しな性格な上に、彼女に心配をかけないように、ただの不良に留まらない奴らの凶悪さを伏せていたのが裏目にでた。
 相手に対する警戒が、みるみる解かれていくのがわかってしまう。
 南波の人物像が悪知恵のはたらく凶悪な不良から、次第に仲間の手前、悪ぶっている少年へと巧妙にすり替えられていった。

「違うよ、そいつに騙されてるんだ」

 ソファに並んで腰掛けて、愉しそうに笑い合う姿に、いくら叫ぼうとも過去の彼女には伝えようもない。
 次第に場の空気が変質して、気がつけば見つめ合うふたりが唇を重ねていた。
 恋人が交わすような濃厚な舌の絡み合い、次第に熱を帯びてお互いを抱きしめ合う。

「あン……うふぅ……」

 キスを交わしながら、南波の手がセーターの上から大きな胸の膨らみを揉み上げていく。凌辱していた時の荒々しいものではなく、愛でるような優しいタッチだ。
 次第に官能を蕩けさせて、唇が離れるとミカ姉は肌を上気させて、瞳を潤ませた女の顔になっていた。

(今までは、どんなに汚されようが相手に対して心が反発してた……でも、これは違う……)

 何事か耳元で囁かれると、彼女は恥ずかしげに頷き、ゆっくりと衣服を脱いでいく。
 その下から現れたのは、彼らが奴隷装束と呼んでいたあの黒い下着、そして首には黒いチョーカー風の首輪があった。
 喉元で施錠するハート型の南京錠が、キラリと照明を反射する。
 すでに何度も着させられているのか、その姿が様になっている気がした。エロティックでありながら芸術的な美を僕は感じてしまう。
 だけど僕が感じたのと同じことを南波が語り、ミカ姉を照れさせていた。

「……ふざけるなよ」

 僕が苛立つ中、画面では同じくボクサーパンツ一丁となった南波が、ふたりでベッドへと移動する。
 横たわる南波の上に、ミカ姉が逆方向で四つん這いで跨がる姿勢、いわゆるシックスナインのポーズでお互いの性器を愛撫しはじめた。
 ボクサーパンツをずらして勃起したチ×ポに彼女の細い指が添えられて、可愛らしい舌で舐めはじめる。
 一方で、南波も枕で頭の位置を調整すると、指と舌で彼女の秘部への愛撫を開始した。

「んんッ……うふぅ……んむぅ……」

 彼女の息遣いだけが響き、いつもよりフェラチオ奉仕に熱が入っているように見える。
 調教と称して何度も三人組のチ×ポを咥えさせられてフェラチオ奉仕を強要されてきた。おかげで嫌でも男のツボを刺激する技術を教え込まれていた。
 まるでAV女優のように肉棒を咥えると、頬を窄めて自分の唾液を塗り込んだチ×ポを愛おしそうに愛撫していく。

(くそぉ、なんでだよ……)

 僕じゃない男のチ×ポを嬉しそうに咥える姿に、悔しくて涙がでる。

(それなのに、なんで俺は……興奮してるんだよ……)

 嫉妬で胸を掻きむしりたいのに、股間は痛いほど勃起している。

「くそぉ、くそぉ……」

 涙で歪む視界の中でミカ姉は、横たわる南波の上にゆっくり腰を下ろして騎乗位で繋がっていた。
 ユサユサと重たげに乳房をバウンドさせながら、ミカ姉が媚声を上げて腰を振るわせる。
 それを優越感を漂わせながら、見上げる南波がいかに憎たらしいことか。余裕綽々と自慢のセックス技術を駆使して、彼女を翻弄して絶頂に昇らせてしまう。
 度重なる調教によって、心身に肉欲を覚え込まされた彼女は、容易にイク体質に開発されてしまっていた。
 様々な体位で貫かれるたびに潮を吹かせられて、肉欲の渦へと沈められていく。
 いつもなら、肉欲に流されてようが気丈な彼女はそれに抗っていた。だけど、今回に限っては嫌なことを忘れようと甘受して自ら溺れているように見えた。



 体位が変わり後背位になると、南波も本格的に腰を使い始めた。
 獣の交配ポーズで、パンパンと大きな音を立てながら激しく腰を尻たぶに叩きつけると、彼女もただ快楽だけを求めて腰をすり寄せていく。

「あぁ、ミカ姉が女に……いや、牝にさせられてる……」

 背後から荒々しく突かれるたびに、豊かな乳房を激しく揺らして獣のような喘ぎ声をあげる姿には、普段の凛とした彼女の面影はない。
 そうした末にようやく南波がラストスパートに入ると、程なくして二人揃って絶頂を迎えた。
 雄叫びとともに射精を受け入れて、彼女の身体が大きく仰反る。
 意外なことに、今回の南波は進んで避妊しようとコンドームを使っていた。白濁の精液が溜まるコンドームを抜き取り、口を縛ってベッドサイドに置く。
 だけど、射精したばかりだというのに南波のチ×ポは萎える気配もない。対するミカ姉はまだ一回目の射精だというのに、すでに何回も達していた。
 力尽きたように突っ伏していた彼女だけど、コンドームが取られると進んで口で清めはじめる。
 ベッドサイドに腰掛けた南波の足元に跪き、胸の谷間でチ×ポを挟んでパイズリまでしはじめた。
 たくましく突き出た亀頭を舌で刺激しながら、乳房で肉竿を扱き上げていく。

「僕だったら、そんなことされたら耐えられないよ」

 だけど、そこまでしても、なかなかニ発目の射精まで導けない。
 それを申し訳なさそうするミカ姉に、困ったように南波が提案したのは、彼女を拘束して抱きたいということだった。

――自由を奪ってから犯すのが好きなんだ

 確かに前の映像でも、アイツはそう語っていた。それを彼女も覚えていたのだろう。
 提案したものの、彼女を案じるふりして引き下がると、お人好しの彼女は困った顔をしながらも提案を受け入れてしまう。

――愛があれば、SMだって気持ちいいもんだよ

 適当なことを言いながら、背後で組ませた腕に幅広のベルトを巻きつける。その上で鎖で首輪と連結までしてしまう。
 脚もそれそれ折り曲げた状態にすると、こちらも幅広のベルトで拘束する。
 手脚の自由を奪った彼女をベッド上に転がして、その頭に全頭マスクを被せていく。口元以外は漆黒の革に覆われた姿は、真空 未可子という人間から性処理するモノへと変えられていくようで嫌だった。
 そうやって相手の視界を奪った途端に、南波もしおらしい少年から本来の厚顔無恥な顔つきへと戻っていた。
 見えないことに不安げにする彼女を優しい言葉とキスであやしながら、枕下に隠しておいた小瓶から薄ピンク色のクリームを掬うと、新たに装着したコンドームに塗り付けていった。

「……なんをやってるんだ、それはなんだよ」

 残忍な笑みを浮かべる姿に嫌な予感しかしない。
 怪しげなクリームを塗られたコンドームごと、ズブリと彼女の中へと挿入されてしまう。
 荒々しかった先程までのセックスから一転して、ゆっくりとした挿入を繰り返すのは、あのクリームを膣内にまんべんなく塗り広げているのだろう。
 その効果なのか彼女の肌が火照りはじめて、無数の汗の珠を浮かしはじめる。同時にハァハァと息遣いは激しくなり、腰が刺激を求めるように淫らに振り始めた。

――拘束されてこんなに興奮してくれるなんて、未可子に俺好みのマゾの素質があって嬉しいよ

 マゾだと断言されるのに、どんなに心では否定したくても、肉体は激しく興奮して刺激を求めてしまっていた。
 怪しげなクリーム塗られたことに気付いていないミカ姉には、南波の言葉が真実だと思い込まされてしまうだろう。
 その上、新たに大人のオモチャを次々と身体に試されて、冷静な思考もできなくされてしまう。

――未可子が好きな女だから俺の牝奴隷にしたいし、マゾだからこうして気持ちよく受け入れてくれるんだよ……

――愛してるよ、こうしてメチャクチャにしたいほど愛してるぜぇ

――もっと気持ちよくなりたいよなぁ、マゾなのを受け入れれば、もっと気持ちいいぜぇ

――イキまくって、こうして牝奴隷にされて気持ちいいよなぁ? 俺の牝奴隷になれて嬉しいよなぁ?

 膣奥まで突かれながら、クリ×リスを吸引バイブで責められて何度も潮を吹いていた。
 絶頂に継ぐ絶頂でなにも考えられない状態の中、耳元で囁かれる言葉にただ応えていく。
 次々と被虐の肉悦を刻み込まれながら、愛の甘い囁きに誘導されて自分がマゾであることを信じ込まされていった。



「まぁ、こんなもんかな」 

 南波は隠しカメラ取り出すと、ベッドで気を失っているミカ姉をアップで映し出す。
 全頭マスクを脱がされた彼女は完全に白眼を剥いて、舌まで突き出していた。
 だらしなくガニ股で開いた股間の周囲は、バケツの水をひっくり返したように彼女の体液でグッショリと濡れて、身体の上にズラリと並ぶ使用済みのコンドームの数からもいかに激しいプレイだったのがわかる 。

「高いだけあってあのクリームはすげぇ狂いようだったな、まぁ、勃起持続のカプセルのおかげで、俺の方も玉がカラッカラで痛ぇけどなぁ」

 馬鹿笑いをひと通りすると、大人のオモチャを入れてきた袋から新たな品を取り出してくる。

「じゃーん、新アイテムの貞操帯だぜ。次のゲームは二十四時間耐久焦らしプレイだ、チ×ポを挿れて欲しいって自分から言わせるのに、さぁて、何時間かかるか愉しみだよなぁ」

 取り出したのは金属製のフンドシといった形状の品で、一度分解してミカ姉の腰に装着していく。
 脱着するには南波の持つ鍵がないとできない構造になっているようで、股間の秘部も同様に鍵付きで蓋ができるようだ。
 その蓋の内側には突起物があって、ランダムか遠隔操作で振動させるとクリ×リスと膣内を刺激する機能まである。
 そこに先程使った怪しげなクリームを塗り付けると蓋も装着していく。

――カキンッ……カキンッ

 澄んだ金音とともに施錠されて、これでミカ姉自身では脱ぐことも突起物を外すこともできなくなってしまった。

「まぁ、他のメンバーが勝手に悪さしないように守るためだと言えば、バッチシだろ」

 悪知恵の働く南波は、プレイ中にも朦朧とする彼女から貞操帯を取り付ける同意を得ていた。
 それを、わざわざ自分のスマホで撮影していたのは、拒まれた時の保険なのだろう。
 マゾだと認める言動なども、動画編集して都合よく使う算段も立てているようだった。
 そうして、ニヤリと笑ったアイツが改めてこちらをみた。

「よぉ、ちゃんと見てるかよぉ、勝ち気な未可子も今回ので心の籠絡も寸前まできたぜぇ、まぁ、今回だけじゃ完全には墜ちねぇだろうが、残りの期間でどうなるか楽しみにしろよなぁ」

 突然の僕に向けたメッセージに完全に虚をつかれた。
 そのまま再生が終了した画面は、憎たらしい奴の嘲り笑いで止まっている。

「ふ、ふざけるな」

 悲しみと絶望に沈む僕が、その南波に対する怒りで沸騰する。
 湧き上がる怒りが、ボロボロな僕の心をどうにか支えていた。
   



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