隷属の交換契約 ー変えられた僕の幼馴染みー

【12】心に入り込む甘言の罠

 次に映し出されたのは、夕暮れどきの駅前だった。
 平日らしく、高架ホームに停止した電車から降りてきた制服姿の学生たちが、ゾロゾロと改札から出てくる。
 改札から繁華街に面した方へと向かえば、そこには駅前のロータリーがあった。ここでは待ち合わせをする者も多く、これから飲みにいくらしい大学生の集団がいた。
 チャラそうな外見で、馬鹿騒ぎして盛り上がっているのを横目に、近くにある裸婦像の前で佇むミカ姉の姿があった。
 黒いボストンバックを足元に置いて、誰かと待ち合わせでもしているのだろう。しきりに時計を気にしていた。

(それにしても、ミカ姉はブレザーの制服姿がよく似合っているよな)

 卒業生である有名ファッションデザイナーが手掛けたという制服は、周囲でも可愛いと評判だった。
 それを身に付けた彼女は、大人びた容姿もあって、まるで読者モデルのように絵になるのだ。

(でも、スカートがいつもよりも随分と短いよなぁ……)

 チェック柄のスカートは股下数センチといった短さで、少し屈めば中を容易に覗けてしまいそうで気になってしまう。そこからスラリと伸びた長い脚がよく目についた。
 それは他の男も同じらしく、黒いニーソックスに包まれた美脚とハッする美貌の彼女を道行く男たちがチラチラっと見ていく。
 その視線が気になるのか、しきりにスカートの前を手で押さえながら恥ずかしそうに顔を俯かせていた。
 彼女の反応から、どうやらスカートが異様に短いのは彼女の本意でないのがうかがえた。

(また、南波のヤツが命令したのか……)

 憎い男の顔を思い浮かべた俺は、彼女の首に巻かれたマフラーから、黒革の首輪が垣間見えているのにも気づいてしまう。
 細身の首輪だから、一見して黒いチョーカーに見えなくもないが、それはアイツが奴隷衣装と称した卑猥な下着とともに彼女に着けさせていたものだった。

(ま、まさか下着も着けてるのか?)

 制服の下に隠れる彼女の裸体、それに娼婦のような下着が身に付けられているのを想像して、ゴクリと生唾を呑み込んでしまう。

(いやいや、落ち着けッ!!)

 グルグルと感情が渦巻いて気がおかしくなりそうだ。
 慌てて落ち着こうとしていると、冬の空気の中、口から白い息を吐き出して俯いていた彼女が、ビクッと肩を震わせて顔を上げた。

(なんだッ、どうしたんだ?)

 その頬は異様に赤く、瞳は激しく潤んでいるように見える。画面にアップにされた彼女の顔、その表情があまりにも色ぽくてドキッとする。
 いつも颯爽として凛とした彼女が、僕だけにみせてくれていたはにかんだ笑顔とも違う。どこか哀愁を感じさせる大人の女を感じさせる顔がそこにはあった。

(ミカ姉……なんだよね?)

 おもわず別人かと疑う彼女の変化に戸惑ってしまう。
 だが、全身から漂う男を刺激せずにはいられない牝の気配に、不覚にも僕の股間は激しく反応していた。

(そういえば、誰を待っているんだろう?)

 手首にはめた時計を見ては、しきりに誰かを探していた。だが、待ち人がくる気配がないと大きな吐息をついて俯いてしまう。
 その寂しそうな表情に俺の心は異様にざわめいていた。
 ミカ姉が俺の身の安全と交換に南波と交わしてしまった隷属の契約。それによって彼女はヤツの命令に抗えない。
 処女を奪い、ふたりの仲間とともに好き放題に犯し、絶対服従なのをいいことに、いつの間にか巧みな誘導で疑似恋人のような立場にまで収まってしまった。
 ならば、待ち合わせしているのは、その南波とみて間違いないだろう。

「くそ、なんだよッ、これじゃ、まるで恋人との待ち合わせしているみたいじゃないかよッ」

 当初は反抗的な態度だったミカ姉も、南波のペースに呑まれて随分と懐柔されてしまったように感じられた。

(いや、ミカ姉を信じてあげないと……)

 そうは思いつつも不安だった。疑心暗鬼に陥ってしまいそうなのだ。

(信じても……良いんだよね?)

 その答えを、画面の彼女は返してはくれない。それどころか、彼女自身がトラブルに巻き込まれようとしていた。
 先ほどまで近くでバカ騒ぎしていた大学生の一部がチラチラと彼女を見ていた。
 彼女の待ち合わせ相手がこない気配に、ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべながら、なにやら相談をしているのだ。
 どうにも彼らからは不穏な雰囲気が感じられ
た。

(なんなんだよ、コイツら……ん? ミカ姉、どうしたんだ?) 

 遠目にもわかるほと彼女の様子が変だった。
 勝ち気そうな太め眉の歪めて、肩を震わせながらグッとなにかに耐えるような表情を浮かべ始めたのだ。
 太ももを擦り合わせている様子が、媚薬クリームと貞操帯に仕込まれたバイブレーターで一晩中、焦らし狂わされた姿を彷彿とさせた。
 だから、彼女の身になにが起きてるのか理解できてしまう。

(また、バイブを仕込まれているのか!?)

 ガクガクと脚を震わせて座り込みそうになるのを必死に堪えて、声を出すまいと唇をグッと噛んでいた。
 時間にして数分だろう、解放されたときにはグッタリとした様子だ。崩れるようにして、その場に座り込んでしまった。

(まずいな、注目されてたから、余計に目立っていたな……)

 ハァ、ハァと息を乱して汗を浮かべた姿は、傍からみたら体調が悪いようにも見えたようだ。
 心配して声をかけようとした周囲に先んじて、先ほどから興味を示していた大学生たちが動き出していた。
 日焼けして髪を染めた三人組が、立っていられずに座り込んでしまった彼女を囲むように立っていた。
 見るからにチャラそうな連中で、その目は心配しているというより、弱っている獲物を前にしたハイエナのように爛々と輝いている。

「ねぇねぇ、大丈夫かい?」
「随分と具合が悪そうだね、こう見えても俺たちは医者のタマゴなんだよ」
「そうそう、ちょっと診てあげるから安心してッ」

 これ見よがしに、周囲に聞こえるように大声をだす。見かけによらず頭がまわるようだ、医者のタマゴと聞いて安心した周囲から散っていった。

「えッ、ちょっと……大丈夫だから」
「いやいや、こりゃ、ちょっと休んだほうがいいね、ほらぁ、こっちにおいでよ」

 心配そうに介抱する素振りで周囲にアピールしつつ、座り込んでしまった彼女の両腕を左右から掴んで引き上げる。
 振払おうとするミカ姉だが、彼らは意外に鍛えているらしくて逆に抵抗を封じられてしまう。
 傍目には優しく介抱している風にみえて、その実は両腕をシッカリと抑えられているのだ。
 
「これ、キミのカバン? 随分と武骨なの使っているんだね」
「ちょ、ちょっと、なにを勝手に中身をみようとするのよ、触らないでッ!!」
「いいから、いいから……て、カバンいっぱに何を詰めてるんだか、おいおいスゲェなぁ」
「なんだ? どうしたよ」

 ミカ姉が足元に置いていた黒いボストンバッグを、制止を無視して勝手に漁りだした男だが、その中身をみて騒ぎだす。
 その時になって、僕もそのカバンに見覚えがあるのを思い出した。南波のヤツが、ミカ姉の家に上がり込んできた時に持ってきたものだ。

(……だとすると、あの中身はッ!!)

 カバンの中には調教で使われた拘束具やさまざまな道具――麻縄の束にガラス製の浣腸器、ペニスをリアルに模したバイブレーターなどがギッシリと詰め込まれていた。
 それを目にした彼らの顔つきが変わる。心配する善人を装うのを止め、弱味を見つけて残忍な笑みを浮かべるのだ。

「なんだよ、援交の相手待ちかよ」
「それにしてもスゲェ道具だなぁ、澄ました顔して変態プレイ大好きちゃんかよ、よく見たら首輪してるじゃん」
「それに着てるのって、有名な学校の制服だよなぁ、あそこは厳しいので有名な進学校だけど大丈夫? あぁ、俺らは口は固いから安心していいよ」
「えッ、いや、ちがう……ッ」

 言い訳しようとした彼女も状況的に無駄だと悟ったとうだ。悔しげな表情で口をつぐんでしまう。
 それを良いことに彼女の肩に腕をまわして、馴れ馴れしく絡んでくる。

「なぁ、援交の相手も来ないみたいだしさぁ、俺らが代わりに相手してあげるよ」
「な、なにを言ってるのよッ、そんなことする訳ないでしょッ」
「あれぇ、いいの? 俺らの口止めしておいた方が良くない?」
「そうそう、なんならさぁ、ここでカバンの中身をぶちまけてもいいぜ」

 両脇から逃げられないように両腕を掴まれて、カバンも取り上げられた。
 口を開いたカバンをチラつかされては、彼女もこれ以上は抵抗できない。
 周囲では大声をあげた彼女を心配して足を止めたサラリーマンたちが、こちらの様子をうかがっていたのだ。

「……そ、それは……止めて……ください」
「ならさぁ? 俺たちに付き合ってくれるよねぇ? なぁに、ちゃんとホテル代も援交のお金も代わりに払ってあげるからさぁ」

 自らの財布を取り出して、万札がギッシリと詰まっている中身をみせてくる。
 どうやら医者のタマゴというのは本当なのだろう。甘やかされて増長した雰囲気が三人からは感じられる。
 ひとりが脅しの材料であるカバンを確保して、ふたりが逃げられないように彼女を両脇から挟み込む。
 その妙に手慣れたチームワークから、そうやって三人で女の子を脅すことも初めてではないのだろう。
 狡猾で金も持っているだけに、南波らとは違う意味でやっかいそうな相手だった。

「さぁて、じゃぁ行こうか。いいプレイルームがあるホテルを知ってるんだよ。好きなんでしょ? SMがさぁ」

 細められた目が短いスカートから伸びる美脚に注がれていた。太ももを伝うように滴り落ちているのは愛液だろう。
 やはり、先ほどのはバイブによる振動に身悶えしていたようだ。それを見透かされては、もうミカ姉には反論する余地もないだろう。

「人前でバイブで逝くとか、どんだけ変態プレイ好きなんだよ」
「こんなに道具あるんだからさぁ、俺らでたっぷり可愛がってあげるからね」

 もう彼らの目には、ミカ姉がSMプレイにはまっているマゾ女に見えているのだろう。扱いが荒く、わざと口汚く罵っては、こういうのが好きなんだろうっと好き放題だ。
 それを彼女がグッと堪えるものだから、余計に増長していった。
 下卑た笑みを浮かべた大学生らによって、そのままミカ姉は駅前から連れ出されてしまう。
 逃げ出すのを警戒して両腕もしっかり握られては、容易に逃げ出すことも出来ない。
 そんな彼らが向かおうとしているのは繁華街に接したラブホテル街だろう。
 助けを求めようにも駅から離れると人気が途絶えていた。人気の少ないルートを巧みに選んでいるらしく、そのことからも彼らが手慣れているのがわかる。

(くそッ、またミカ姉のピンチに、なにも出来ないのかよッ)

 普段のミカ姉なら大学生を三人相手にしても立ちまわれただろう。
 だが、バイブで逝かされた直後で足腰に力が入らず、弱味も握られていては抵抗する気力も劣ろいてしまう。
 うなだれたままのミカ姉が上背のある大学生たちに囲まれて連れていかれる後ろ姿に、僕は自分の無力さを呪うしかなかった。 
 そうしている間にも、独特なネオンで彩られたホテルの入口が見えてきた。

「あぁ、やっぱり嫌よッ」
「おいおい、ここまで来てワガママいうかな」

 ホテルの入り口を前にして、拒絶の態度をしめしたミカ姉。だが、ここまで連れてきて逃す気もないだろう。
 両腕を掴んで引き戻すと、大学生たちは余裕の態度をみせる。

「なら、大声で助けを呼んでもいいぜ? どうなるか想像できないのならね」

 そう強気に出られては、ミカ姉の抵抗も弱々しくなってしまう。状況的に彼女が圧倒的に不利なのだ。
 空手の選手として一流な彼女が、か弱い少女のようにキリリとした眉毛を折り曲げて、今にも泣きそうな気配を漂わせていた。
 窮地に陥っていたミカ姉に、思いがけない助けが現れた。

「なぁ、そいつ嫌がってるぜぇ、離してやれよッ」
「そうそう、制服姿のJKを無理やり連れ込んだりしたらナントカ条例違反だっけ? お兄さんたちの方が不利じゃねぇ?」

 大学生らが振り向けば、私服姿の南波の仲間のふたり――伊東(いとう)と西塔(さいとう)が立っていた。
 ジャラジャラとチェーンを腰に垂らした不良ぽい格好で、体格で勝る大学生を相手にしても相変わらずのふてぶてしさだ。

「ほら、嫌がってる姿もバッチリ撮ったぜ」

 手にしていたスマホ画面をみせると、そこにはホテルに連れ込まれそうになって嫌がるミカ姉の姿が記録されていた。
 確かにそれを見れば連れ込まれそうになった証拠としては十分だろう。
 一転して不利になったのを悟って大学生らは顔を見合わせていた。

(クソッ、こいつらに感謝することになるなんて……)

 彼女のピンチに助けが入ってホッしてしまう僕だけど、その相手は彼女をさんざん弄んでいたヤツらというのには複雑な気分にさせられる。
 僕だってミカ姉のピンチにいたのならばっと、思わずにはいられなかった。
 そんな相手を見下すような視線を投げかけてきた邪魔者の登場に、苛立ちの反応をみせていた大学生たちだが、相手が随分と年下だと気づくと落ち着きを取り戻していた。

「なぁ、ここは穏便にいこうじゃないか、なんならその映像を買い取ってもいいしさ」

 懐から万札を取り出してチラつかせはじめた。相手が年下というのもあり買収しようという腹積もりなのだろう。
 扇のように広げられた十枚以上の万札に、おもわず顔を見合わせるふたり。
 その反応に脈ありと判断したのか、さらに話しかけてくる。

「どうやら、キミらはこの子と顔見知りみたいだね。ならどうだい、一緒に混ざらないかい? もぅ、三人でするのも五人でするのも変わらないだろ、仲間に入って一緒に楽しもうぜ」

 ミカ姉の反応から顔見知りだと判断したようだ。真面目そうな外見の彼女とガラの悪い少年の組み合わせに、勝手にいろいろ想像したのだろう、驚くべき提案を重ねてきた。

(これは、不味いな……)

 南波の策略である期間限定の恋人計画のおかげで、二人はしばらくミカ姉を抱けていないはずだった。
 美味しいニンジンを見せられ続けていた状況で、南波が不在のときに旨そうな話が転がり込んできたのだ。コロッと提案にのっても驚きはしない。
 しかし、意外なことに彼らは首を横に振って提案を拒絶すると真っ向から対峙することを選んでいた。

「まぁ、魅力的な提案だけどさぁ、コッチにも予定があるんだよねぇ」
「そぅそぅ、イキったお兄さん方にお灸をそえないといけないしね」

 不穏な気配に一気に緊張が高まる。こんな展開になるとは僕と同じくミカ姉も予想外だったようで、驚いた表情を浮かべている。
 そんな彼女の腕を背後から掴む者がいた。

「逃げるぞッ、こっちだッ」

 二人が大学生たちの注意を引いてい間に、南波が背後から忍び寄っていたのだ。
 不意をついて彼らの中からミカ姉を引き出すと、そのまま駆け出していた。

「――え? あッ、待てよッ」
「くそッ、仲間がいやがったのかよ」

 南波に腕を引かれて逃げ出したミカ姉を、大学生らが捕まえようとする。
 それを南波の仲間ふたりが身体を張って阻止してくれた。

「行かせねぇよぉ」
「くそッ、邪魔するなよ」
「いいのかい、ほらッ、呼んでおいたお巡りさんが、もう後ろにいるぜぇ」

 ふたりの言葉に、大学生らはハッとして一斉に背後を振り向いていた。
 だが、そこには中年の太ったサラリーマンと、その腕を抱きついたセーラー服の少女がいるだけだった。
 警察官どころか驚いたようすのカップル以外には人影はない。

「たくッ、なんだよ、お巡りなんていねぇぞ」
「あッ、くそ騙された、アイツらも逃げやがった」
「バ、バカにしやがてッ、追いかけるぞ」

 手を取って逃げ去った南波とミカ姉とは別方向に、脱兎のごとく逃げていくふたりの姿があった。
 ミカ姉に対峙したときも、勢いばかりで強くもなかった二人だけど、その代わりに人を馬鹿にする才能には長けているようだ。
 時折、振り返っては追い付いて見せろとばかりに挑発する念の入れようで、囮として大学生たちを繁華街の方へと引き付けるのに成功する。
 その光景を物陰から撮影されたカメラによって、
一部始終を僕はみていたが、その予想外の展開に混乱させられるばかりだった。



 その後、すぐに画面が切り替わり、日が暮れて暗くなった夜の公園へとカメラは入っていく。
 木々が生い茂る大きな公園には見覚えがあった。あの恥ずかしい下着姿でミカ姉が連れ歩かされていた場所だ。
 カメラは街灯が照らす緑道から外れて、音を忍ばせて暗い木々の間を進んでいく。するとマイクが囁きあう男女の声を拾ってきた。

「ちょっと、なに考えてるのよッ」
「いいだろ、ちょっとだけ……なぁ?」
「や、やめ――うむッ、んむぅぅ」

 大きな木を廻り込んだ先に、緑道から隠れるように木に背を預けたミカ姉と、彼女に抱きつく南波の姿があった。
 彼女を木に押さえつけるようにして唇を奪っている。それを両手で押し返そうとするミカ姉だったが、その抵抗はなぜか弱々しい。

「うむ……んんッ――ぷはッ、ダメよぉ……誰かが来たら……」
「なら未可子が声を我慢すればいいだろ?」
「バカッ、それができないの……んんッ、知ってるクセに……あぁ、そこはダメよ」
「なんだよ、もうビショビショじゃねぇかよぉ、あの大学生どもに犯されるの期待したのかよ」
「ち、違う……わよ。アンタが今日はノーパンで過ごさせたから……あぁぁンッ、指をかき回さないでぇ」

 南波の右手がミカ姉のミニスカートを捲ると、彼女は下着を身に付けていなかった。
 黒いニーソックスには、派手なピンクの電池ボックスが挿されて、伸びたケーブルが股間へと消えている。
 柔毛を剃られてツルっとした秘部からは、すでに大量の愛液を垂れ流していて太ももまで濡らしていた。
 挿入された南波の指が動くたびにクチュクチュと淫らな水音を響かせ、ミカ姉を喘がせてしまう。
 その一方で、左手で器用にワイシャツを捲りあげると、窮屈に押し込められていた乳房を露出させていた。

(――えッ!? ミカ姉はノーパンだけでなく、ブラもしてなかったのかよッ)

 心なしか以前よりボリュームを増した豊乳に南波の指が喰い込み、優しく揉みあげていく。
 その頂きでは、ツンと尖った乳首を貫くリングピアスがキラリと冷たく光を反射する。

「んッ、うふン……ハァ、ハァ……ん、んんッ」

 左手で鷲掴みにする一方で反対の乳首を口にふくむ。リングピアスが貫く乳首を甘噛みされて、ミカ姉は口を押さえて声を必死に我慢していた。
 南波によって処女を奪われた彼女は、数々の調教を受けて感じやすい体質に改造されてしまっていた。
 今では南波の愛撫を受けただけで股間を激しく濡らし、潤んだ瞳で媚びた眼差しを向けてしまう。
。彼女のツボを知り尽くした南波の愛撫によって完全に牝の顔になっていた。
 指を噛んで耐えようとしても、媚声をあげてしまうのだった。

「んぁぁン、だ、だめぇぇぇッ」
「なにがダメなんだよぉ、貞操帯を外してやればこれだよ。一日中これが欲しくて、どうせ学校でも我慢できずにオナってたんだろう?」

 彼女を手を自らの股間に誘導して、南波はニヤニヤと笑う。
 その視線から逃れるように目を背けるが、ズボンの膨らみに這わす彼女の指は離れない。

「あぁぁ、熱くて、もぅ硬い……」
「なんだよ、図星かよ。物欲しそうな牝顔をしやがってよぉ、盛りのついた牝犬みてぇだぞッ」
「あぁぁ、だ、だってぇ……」

 悔しげに唇を噛むものの、南波の股間をまさぐる指の動きは止まらない。
 細くしなやかな指が肉棒の形状を確かめるように蠢き、絡まれていく。
 その存在を認識するほどに、ミカ姉の瞳は潤みを増して、熱く吐かれる息は激しく乱れていった。

「あぁ……凄い、どんどん硬くなっていく」
「未可子と同じく、俺も三日間我慢してたからなぁ、いいかッ、今夜は寝かせねぇからなぁ、覚悟しろよッ」
「あぁぁぁ……」

 これから自分の身に起こることを想像したのだろう。愛撫を受けている身体をブルブルと震わせる。
 それは以前のように嫌悪や恐怖によるものではなく、期待による歓喜によるものだと彼女の表情が物語ってしまう。
 そんなふたりが隠れる木のそばで、突然茂みがガサガサと揺れた。だが、南波は気にした様子もなく、愛撫の手を止めさせようともしなかった。
 そこから顔をだしたのは囮役で大学生たちを引き付けた仲間のふたり――伊東と西塔だった。
 彼らは南波の愛撫によって喘ぎ声を止められないミカ姉の姿を目にして苦笑いを浮かべていた。

「おいおい、そんなに大声を出してたら公園の外からでも気づかれちまうぞ」
「まったく、こっちは囮役で走り回ってたっていうのによぉ、ふたりでお楽しみはヒデェじゃんッ」
「あぁ、わりぃ、未可子が我慢できないって誘って来たからよ」

 南波が、まるでミカ姉が誘ったかのようにうそぶいてみせると、ふたりは「なら、しょうがない」と淫乱女を見るかのように侮蔑の視線を向ける。
 蕩けきった表情の彼女も、ふたりの登場には気づいたようだが、ハァハァと息を乱して離れた南波に物欲しそうな目線を向けてしまう。
 
「なんだよ、すっかりスイッチが入ってるじゃんかよ。大学生三人の相手ができなくて残念だったなぁ、しょうがないから俺らが代わりに朝まで楽しませてやるぜ」
「そうだよなぁ、折角、助けてやったんだ。お礼ぐらいあってもいいよなぁ。今まで我慢してたんだしよぉ。感謝の気持ちを示してくれるよなぁ」

 ニヤニヤと嫌な笑みを浮かべる彼らの手には黒いボストンバッグがあった。
 調教道具が詰められたカバンも彼らから取り戻してくれたらしい。
 助けてもらった上にそこまでしてもらっては、流石に彼女も無下に断ることもできない。

「まぁ、そう言われると弱いよなぁ……しょうがねぇなぁ、未可子はどうするよ?」

 木に背を預けて立っているミカ姉に三人の視線が注がれる。
 制服のワイシャツは捲りあがり豊乳を丸出しで、毛を剃られてツルリとした股間からは滴るほどの愛液を股間から垂れ流している。
 柔肌を上気させて、ハァハァと欲情させられた彼女が熱い視線を向けるのは、大きく膨らむ悪ガキども三人の股間だった。
 南波に促された彼女は、ゆっくりと、だが確かに首を立てに振っていた。
 それに三人は顔を見合わせて乾いた笑みを浮かべると、彼女を連れてホテルの裏口へと消えていくのだった。



 再び画面が切り替わると、今度はホテルの隠しカメラの映像に切り替わっていた。
 すでに全裸になった南波ら三人に囲まれて、カーペットの上に膝をつくミカ姉の姿があった。
 誰の趣味か制服をまとった半裸姿でフェラチオ奉仕をさせられているのだ。
 上着もワイシャツも脱いだ上半身には首にリボンと首輪だけが残してあった。
 両手は二本の肉棒に指を絡めて扱く一方で、残る一本を口に咥えて口腔奉仕をしている最中だ。
 頬を窪めて首を振るたびに、ポニーテールにまとめられた黒髪がなびき、剥き出しの双乳がユサユサと揺れる。そのたびに乳首を貫くリングピアスが照明の光を反射してキラリと光る。

「んふッ……うむぅ……んッ、んッ……」
「おぉ、すげぇ上手くなってるじゃんよぉ」
「確かに舌使いも格段にレベルが上がってるじゃん」

 久しぶりにミカ姉の奉仕を受けて、ふたりが感嘆の声をあげていた。その反応に南波は自慢げに笑っていた。
 処女を奪われて一ヶ月以上が経過している。口腔奉仕どころかファーストキスすらまだだった彼女が、いまではセックス慣れした不良らもたじろぐほど奉仕を上達させていた。

「毎日のように俺様のチンポを咥えさせて、穴という穴で覚えさせたからなぁ、だから今日みたいにお預けの日が続くと、欲情しまくってスゲェのよぉ」
「確かになッ、愛液を垂れ流しでまるでお漏らしじゃんかよ」

 ミニスカートの中から滴り落ちているミカ姉の愛液は、黒いニーソックスが膝をつくカーペットに大きな染みを造っていた。
 切なげに揺れてしまう腰の動きに奴らは笑みを深め調子に乗っていく。
 彼女による奉仕を受けながら、乳房に指を埋めて素晴らしい弾力を愉しみ、頭を掴んで荒々しくイラマチオを堪能していった。

「さて、俺らも溜まってるからなぁ、ひとまず一発目はお口でヌイてもらおうぜッ」
「なら、そろそろ俺のを咥えてくれよッ」
「バカッ、順番なら俺だろ」
「んッ、ぷぅッ、ま、待って……順番に、んぐぅ……むぐぅぅ」

 口に咥えさせようと三本の肉棒がミカ姉の口元に殺到する。
 亀頭で頬を突かれたり、鼻先をカウパー氏腺液でヌルヌルにされながらも、彼女は必死にフェラチオ奉仕を続けていく。
 そうして、次々に奴らは呻くと彼女の顔に向けて射精していった。

「オラッ、だすぞッ」
「ぷはッ――は、はぃ……」

 南波が低く呻くと、口から抜き出した剛直から白濁の精液をほとばしる。
 ゼリー状の塊がベットリと彼女の蕩けた顔へと降りかかる。

「くぅ、俺も顏射してやるからな、舌を出せッ」
「こっちもだ、笑顔で受け止めてみせろよ」

 指で扱かれていた伊東と西塔も限界を迎えていた。
 次々とほとばしる白濁の精液が、艶やかな黒髪や整った顔立ちに注がれて、彼女を無残に濡れ汚していった。
 ドロリと濃度の高い固まりを美貌に張りつかせながら、彼女は言われるがままに笑顔を浮かべて受け止める。
 それどころか、顔も拭わずに自らの意思で目の前の肉棒へと舌を這わせていったのだ。
 口で熱心に清めていく姿からは、射精へと導けた達成感のようなものすら感じさせられる。
 その姿に調教の成果を感じてか、ふたりは興奮を高めているようだ。
 その証拠に一度射精したというのに、口で清められているうちに前以上に硬さを取り戻していた。

「よーし、久々に俺に縛らせてくれよ」

 伊東が手にした麻縄に、ミカ姉は一瞬だけ表情を曇らせるものの、チラリと視線を向けた南波からの無言の圧に、諦めたように両手を背後で組んでみせる。
 肘まで揃えたところに、麻縄が巻きつかれていった。余った縄は前にまわされて胸の上下を横切っていく。
 脇の下で胸縄をギュッと引絞り、首の左右を通した縄を胸の谷間に括りつける。
 さらにベッドの上で胡座を組ませると足首も新たな麻縄で縛られる。残った縄を首にまわして前屈みの状態で固定された。

「縄酔いして蕩けた顔をしてやがるぜ」
「すっかりマゾに開発されてるじゃんよぉ」
「あぁン、焦らさないで……」

 胡座縛りを完成されて、もう完全に手足の自由を奪われてしまったミカ姉がハァハァと息を乱しながら潤んだ瞳で見上げてくる。
 フェラチオ奉仕をすることで、すっかり欲情させられ、縛られたことでマゾのスイッチも完全に入っているようだ。
 そこには凛としていた憧れの彼女の面影は残っていなかった。彼らによるこれからの行為に期待する発情したマゾの女がいるだけだった。

「クスリなしでもスイッチが入って、完全にマゾモードじゃん」
「まったく、これがあの空手で怖い心空 未可子様とはねぇ」
「安心しなよ、これからは南波だけでなく、俺たちもまた調教に協力してやるぜ。いいだろう?」
「あぁン、それは……」

 理性を失いかけていたミカ姉だが、その提案には流石にいいよどんでいた。
 それを許してしまえば、また三人を相手させられていた最初の状態に戻ってしまうからだ。
 それでは、なんの為に南波との疑似恋人の提案を飲んだのかわからなくなる。
 助けを求めるように南波に視線を投げかけてみても、アイツは面白そうに事態を見守るばかりだ。
 そうしている間にも二人はまとわりついてきて、ミカ姉の身体を愛撫しはじめていた。
 縄目から絞りだされた乳房はボリュームを増してパンパンに張り詰めている。その双乳を伊東が揉みあげては乳首のピアスに指を掛けてもてあそぶ。
 西塔は背後から張り付いて首筋を舐めながら股間へと手を伸ばしていた。
 愛液がいまだに止まらない秘裂へと指を埋めて、掻きまわしながら親指で肉芽を刺激していった。

「あッ、あッ、あぁぁッ、だめぇぇッ」
「なにがダメなんだよ、こんなに下の口は嬉しそうに指を締めつけてるのによぉ」
「そうそう、素直になれよ。三人なら南波ひとりの時より三倍気持ち良くしてやれるぜぇ、なぁ、セックスの気持ち良さにハマってるんだろ?」
「んッ、んんッ、あぁン、で、でもぉ……」

 南波によって感じやすい肉体に改造された上に、マゾの悦楽まで覚えこまされた今の彼女には、彼らがもたらす悦楽の凄さに期待してしまう自分がいるのだろう。
 その誘惑に必死に抗おうと首を振るものの、彼らは執拗だった。じっくりと時間をかけて焦らし続けて彼女を確実に追い込んでいった。

「どうせ、俺らとの関係は、あと少しの間だけなんだぜ」
「そうだぜ、それにあの大学生たちの件もあるしな、しばらくは一緒にいた方がいいな」

 ミカ姉に逃げられた大学生たちも、この街に頻繁に来ているようだった。あれで諦めてくれてれば良いが、制服で素性を知られた以上、遭遇する危険も高かった。
 いくら空手が強くても、抗えないことがあるのを彼女は痛烈に思い知らされたのだ。
 再び、彼らに出会った時に脚が竦まずにいられるか自信がないほどに、ミカ姉の心は弱っていた。
 
「なぁ、俺ら三人の誰かが側にいてやれば、今回のように未可子を守ってやれるぜぁ?」

 彼らの身を張った行動が窮地に陥っていた彼女にはなんと心強かったことか。
 南波の甘い言葉が弱っていたミカの心の隙間に入り込み、ついには彼女に三人による調教を自ら受け入れることに同意させてしまうのだった。




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