トゥ・フェイスド ーある幼馴染みの役目ー
「アイツとは幼馴染みだし、腐れ縁みたいなもので、一緒にいて愉しいし愚痴の言える仲だよ……でも、俺が好きなのはキミなんだ」
その言葉がどんなに私の心を傷つけるか、鈍感な彼は気づいていない。
周囲からお似合いのカップルと認識されているのも、私が長年、秘めた恋心を抱いてそばにいるのもわかっていない。
彼の横にいて恥ずかしくない存在になろうと常に努力してきた。学業もスポーツも常にトップを維持して、才色兼備、文武両道を体現してきたつもりだった。
そのお陰で彼は困るといつも私に相談してくれるし、失恋した彼を慰めるのも私の役目。
その事には不満はないし、特別な存在になれていると実感できるのも嬉しい。
そんな彼の前では冷静沈着に振る舞っている私だけど、別れた途端に赤面して身悶えしているなんて知ったら彼は驚いてくれるだろうか。
「でも、あんな素敵な女性がそばにいて、なんで私なんか……」
謙遜するも満更でもない相手の様子に彼もホッとしたようだ。
考えてきた愛の言葉を必死に紡ぎ続けて、その熱意は相手にも伝わった。頬を染めて、最後にはコクリと頷いてくれた。
「あぁ、よかったね」
満面の笑みで告白相手を抱きしめる彼を見て、心底嬉しいと思ってしまう。
恋の悩みを聞き、どうやって告白しようか悩んでいたのを一緒になって口説き文句を考えた。
その彼の苦労が報われたわけで、見ている私の方も胸の奥が熱く、そして切なくて、気がつけば溢れた涙が頬を伝っていた。
「本当に幸せそうな彼を見ていると、私も幸せな気分になるんだ」
その言葉に偽りはない。目の前の大画面に映る幼馴染みである彼の笑顔をソッと愛しく撫でる。
その同意を得ようと背後を向いた私だけど、折角、招待した観客はそれどころではないらしい。
「ひひゃぁぁ、ひゅるひへぇぇ」
涙ながらに必死に許しを乞うのは、先程まで画面で彼に告白されていた彼女だった。
告白のあとデートを重ね、ついにホテルでともに一夜を過ごしていた。
画面に次に映し出されていくのは、彼に貫かれギュッと背を抱きしめている彼女だ。
処女を捧げて、その痛みにも慣れてきたのか、肌を上気させて徐々に喘ぎ声を漏らしはじめる。
その初々しい姿に彼も感動し、優しく頬へ手を添えて、熱い口付けを交わしていく。
ぎこちない舌の動きの彼女をリードするように、舌は絡み合い、唾液の糸をひいて離れて、そして再び唇を重ね合わせる。
その光景に見惚れる私は自らの指をしゃぶり、切なげに股間へ指を添えてしまう。
「――んッ」
すでにそこは愛液が溢れ出た状態になっていて、指で触れただけでビクンっと身体が震えるほど敏感になっていた。
「あぁン……いいッ……くぅッ」
処女の身でつなたい指使いだけど、彼の笑顔を観ながらなら簡単に達してしまう。
絶頂の余韻に身を震わせて熱い吐息をつくと、潤んだ瞳を画面で幸せそうに笑う彼から背後にいる彼女へと向ける。
想いを寄せる彼の寵愛を受けた肉体がそこにはある。
歯科医の診察シートのような拘束椅子に、彼女は全裸に剥かれて座らされていた。
――同性から見ても惚れ惚れする裸体には、幾重ものベルトが喰い込み、手脚どころか指先から頭にいたるまでピクリとも動かせないように厳重に拘束されてた。
――モニターが見えるようにと固定された頭部は、特殊な器具によって瞼を開かれ、可愛らしい唇を割り開かれるとともに、舌を引き出して固定している。
――Cカップルと小振りだけど綺麗なラインを描いていた乳房は、万力のような乳枷によって上下から根元が押し潰され、大きく前に突き出して彼好みのボリュームまで増すようにした。
――可愛らしいピンクの乳輪、そこからチョコンと頭を出す乳首は鰐口のクリップでひしゃげて、取り付けられたローターの振動で激しく踊る。
――幼少から続けているというテニスで引き締まったスリムなボディ、その脇腹や太ももなどに低周波パットが貼り付けられて、ピクピクと本人の意志とは別に震えて、より刺激を受けるように促す。
――スラリと長い美脚は左右に開かれて股間の恥ずかしい場所は丸見えで、皮を剥かれたクリ×リスに特殊なクリキャップを被せて常に刺激を与えるように調整してある。
――もう決壊したダムのように溢れる愛液が止まらないマ×コ、そこに葡萄のような異形のバイブレータが子宮まで貫いて、激しいピストン運動で愛液を周囲に撒き散らしていた。
――そうして、最後の肛門には数珠繋になったボールが出し入れを繰り返しながら、腸液を掻き出して後ろでの快感を刻み込んでいる。
「ひひゃぁ、もふぉ、いひひゃくなひ――ひぐぅ、ひぐぅぅーッ」
すでに数えるのも飽きた激しい絶頂を迎えて、エビのように跳ねまわる身体に拘束する椅子もギシギシと軋む。
だらしなく白眼を剥いては潮を吹く。その足元には、随分と大きな水溜りが出来ていた。
あのホテルでの逢瀬で愛を確かめ合い、独り暮らしのアパートへと彼に送り届けてもらい、幸せを噛み締めて満面の笑みを浮かべた彼女。
――その姿は、いまだに私が得られないものであって、どうしても許容できないものだった……
――私が我慢できるのはここまで……
――これは羨望、そして嫉妬……
抑え込んでいた醜い私が顔を出し、彼の愛しい彼女を幸せの絶頂から絶望へと落とした。
「でもね、それが終わったら綺麗な心の私に戻るから……これまでも、そうしてきたんだよ」
また彼女に振られたと落ち込んだ彼が、慰められようと私のもとに訪れる。
それを優しい笑顔で出迎えてあげるのが、彼に幼馴染みで腐れ縁と言われる私の役目だった。
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