強者の定義 狙われた教壇のヴィーナス

【3】 牝奴隷へと貶める拘束具

「それでは、貴女の言うことが本当かどうか試させてもらいましょうか。まずは、そこで下着姿になって下さい」
「――なッ!? ふ、ふざけ……」
「出来ませんか?」

 突然の理不尽な要求に、抗議しかかる瑠華の言葉を、常磐は途中でピシャリと切り捨て、冷たい目でジッと見つめた。

「くッ……や、やるわよッ」

 その常磐の無言の圧力に、瑠華は悔しげに言い放つとブラウスのボタンに手をかける。
 だが、少年はまるで出来の悪い生徒を前にした教師のように額に指を当て、大きなため息をついた。

「教師なんですから、少しは学習して下さいよ」
「くぅ……や、やらせて……いただきます」

 まるで自分が悪いかの様に扱われる理不尽さに対する怒りと、馬鹿にされているような屈辱感に、瑠華は益々顔を真っ赤に染めていく。

(耐えなさい瑠華、これも琴里ちゃんの安全の為よ……)

 ギュッと目を瞑り、自分を落ち着かせて鼓舞すると、ゆっくりとブラウスのボタンを外し始める。
 ボタンが外されるにつれて、白いブラウスの布地の合間から、フリル付きのホリゾンブルーのブラに包まれた豊満な乳房が徐々に姿を現していく。そして、全てのボタンを外し終えると、瑠華は迷わずブラウスを脱ぎ捨てた。
 次にスカートのホックを外し、ファスナーを下げホックを外す。スカートがスラリとした長い脚を伝い、スルスルと床に落ち広がった。
 それを見届けると、黒いストッキングに指をかけ、ゆっくりと下ろしていく。クルクルっと丸めるように指先へと脱いでいくと、ブラとお揃いのホリゾンブルーのローライズショーツが姿を現すのだった。
 そうして、脱ぎ捨てた衣服を瑠華は脇に綺麗に折り畳み、手で胸元と股間部を隠しながら、ゆっくりと立ち上がった。
 豊満すぎる胸元は、手で覆う事でより感量を増したかのように見え、かえって男の目を楽しませる事に、瑠華は気づいていない。
 だが、恥ずかしさに、顔が再び赤く染まり、無意識に脚がくの字に内へと曲がってしまっていた。

「ぬ、脱い……脱ぎました……」

 年下の教え子とは言え、異性の前で下着姿になるのはやはり恥ずかしく、瑠華の口調がつい弱々しいものとなってしまう。

「それでは、両手は頭の上に当てて、両足は肩幅の広さまで開いてください。わかりましたか?」
「……はい……」

 否定を許されない口調でそう言われてしまい、瑠華はグッと下唇を噛み締め、おずおずと指定されたポーズを取る。
 せめて、弱々しい所を見せまいと背筋を伸ばし、キッと目の前の少年を見据えるのだが、そうすると、豊乳が前に突き出され、下着姿を否応なしに目の前の少年に晒すこととなった。
 細身でありながらブラからこぼれ落ちるではないかと思うほど豊満な乳房、芸術的なまでに絞り込まれた腰、キュッとつり上がった惚れ惚れするようなヒップと、それまであまり感情を表していなかった少年が、思わずほぅっと感嘆の声を漏らしたほど美しい身体であった。

「これは素晴らしい身体ですね。それでは、これからその身体をより魅力的にしてあげますよ」

 常磐は右手をスーっと上げると、指先でパチンっと軽快な音を鳴らした。すると、それを合図に彼の背後にあった扉が開き、2人の屈強な男たちが入ってきた。先ほど瑠華が打倒した男たちと同様の黒いツナギを着込み、大きなボストンバックを持って、ズンズンと瑠華の傍へと迫っていく。
 その顔には、好色そうな表情が露骨に現れており、興奮したように下着姿の瑠華を全身舐めまわすよう見つめながら、彼女に歩み寄る。目の前にボストンバッグを置くと、いそいそと中身を取り出し始めた。それらは、黒革の拘束具だった。

「――えッ、まさか……それを私に……」
「えぇ、貴女が強いのは先ほど、よくわかりましたのでね。少し自由を奪わせてもらいますから、ジッとしてて下さい」
「そ、そんな……て、抵抗はしないから……」
「ダメです! 何でもいう事を聞くのでしたよね?」

 ゴツゴツした黒革製の拘束具を前に、不安げにする瑠華に、黒ツナギの男たちは拘束具を手に持ちゆっくりと迫る。

「い、いや……」

 表情強ばらせる瑠華であったが、琴里の事を想うと身体は動けなかった。
 そんな瑠華の様子に、先ほどの瑠華の戦闘を見ていたのだろう黒ツナギの男たちはホッとした様子を浮かべると、すぐに顔に乾いた笑みを浮かべ合い、彼女の身体に拘束具を巻き付けていく
 彼女の両手首を、背後に捻り揃えさせると、その両手首に黒革の手枷を素早く巻きつける。

「や、やめな……」
「抵抗はナシですからね!!」

 思わず掴まれた両腕を振り払おうとする瑠華に、常磐はピシャリと冷たく言い放ち、その動きを封じた。

「――くッ!!」

 その間にも、黒ツナギの男たちは作業を続け、彼女の手首に巻きつけた手枷のベルトとギチギチと締め上げると、2つの手枷を金具でカチリと繋げてしまった。

「うぅぅぅ……」

 瑠華は後ろ手に両手を拘束され、無念の呻きを漏らすのだが、両腕の拘束はそれで終わりではなかった。
 その上から、男たちは大きな三角形の黒革製の袋を慣れた手つきで、彼女の両腕に被せていく。
 背後で真っ直ぐに揃えられた両腕を二の腕まですっぽりと黒革の袋に覆っていくと、その上から手首、肘の上下へと順々に付属の幅広のベルトでギチギチに締めつけていった。
 その執拗に自由を奪おうとする拘束具のおぞましさに、彼女の口からは嫌悪の悲鳴を漏れる。
 だが、袋の縁から伸びた二本のベルトが肩から反対の脇の下に抜けるように交互に通され、キツく締め付けられると、胸元を交差されたベルトで圧迫され大きく呼吸するのも辛くなってしまった。
 更に、両足首にも短い鎖で繋がれた足枷を嵌めさせられ、走る事すら封じられてしまう。

「こ、こんな格好を……どこまで辱めれば……」
「よくお似合いですよ」
「そ、そんな訳……あくッ……うぐッ!?」

 常磐に喰ってかかろうとする瑠華だが、脇から伸びた手によってその下顎がガッシリと掴まれ、頬を左右から強く押し込まれて強制的に口を開かされると、もう一人の男によって、その美唇の間に黒いゴム製のバルーンが押し込まれ、口の中に含まされてしまった。

「ぐぅ……うむッ!!」

 バルーンの根元にある黒革の口枷部分が顔の鼻から下をしっかり覆うように顔に巻きつけられ、後頭部でギュッとベルトをキツく締め上げられる。
 そして、口の部分から伸びた黒いチューブの先にある丸いポンプが男の手で握りつぶされ始める。

――シュコッ――シュコッ――シュコッ……

 男の手でポンプが握り潰される度に、空気が口枷の向こうのバルーンへと送り込まれていく。

「うぐッ!?……んぐーッ……んむーッ……」

 口の中のバルーンが膨らむにつれ舌を押し付けられ、口腔内をどんどん満たしていく。内部から口の中を押し広げられ、密閉されていく感触に瑠華は戸惑い、呻き声をあげるのだが、それは徐々に弱々しく、くごもったものになっていった。
 そうやって、内部から口を限界近くまで開けさせられた彼女の顔は、鼻から下がスッポリと黒革で覆われ、口の部分から黒いポンプ付きチューブが伸びる奇異な姿へと貶められる。
 そんな彼女の細い首に、鋲の打たれた肉厚の首輪が嵌められ、ギチギチとベルトがキツく締め上げられていき、その首輪から伸びた鎖が脇に立つ黒ツナギの男の手に握られた。

「うん、想像通り、牝奴隷姿がよくお似合いですよ」
「――ッ!? んーッ!!」
「あぁ、言ってませんでしたね。貴女には、猩々緋 将尊さまの牝奴隷になっていただきます」
「んーッ!? んぐーッ! んんーッ!!」

 常磐の言葉に、瑠華は目を見開き、必死に何かを喋ろうとするのだが、それは言葉にする事はおろか、小さな呻き声にしかならなかった。
 言葉を発する自由すら取り上げられてしまった事実が、より一層、少年の言った『牝奴隷』という言葉を現しているようで、瑠華は戦慄した。
 そんな瑠華の心に追い討ちをかけるように、常磐は手元のタブレットを操作すると、その画面を彼女に見せつけた。

「ほら、どう見たって画面に映っているのは牝奴隷の姿ですよね?」

 タブレットの画面に映し出されたのは、今の瑠華の姿だった。


―― 惚れ惚れするプロポーションの白き肢体は、今はホロゾンブルーの下着のみが僅かに秘所を覆い…… ――

―― 背後で真っ直ぐ揃えさせられた両腕には、二の腕まで覆う黒革のアームバインダーで激しく拘束され、胸を反らすような姿勢を強要されている…… ――

―― 突き出され強調された豊満な乳房の上で交差する黒革のベルトにより、胸元が圧迫され、より豊乳の重量感が増したように見えた…… ――

―― スラリとした素足には、短い鎖で繋がれた足枷が嵌められ、走って逃げ出す事を封じられ…… ――

―― 凛とした顔は、大きく口を開けさせられた状態で固定され、鼻から下を覆い隠すように黒革の口枷が覆われて、その口部分からはポンプ付きチューブが垂れ下がる…… ――

―― 細い首には、鋲付きの肉厚の黒革の首輪がシッカリと嵌められ、聖職者から奴隷の身分へと貶められたのを嫌が上でも知らしめ、そこから伸びた鎖が脇に立つ男に握られた姿が、引き立てられる家畜のようでより悲壮感を醸し出していた…… ――


 画面に映し出された自分の姿に、瑠華は目を見開くと、ショックで身体をブルブルと震わせる。
 目の前の事実を否定するように、イヤイヤと首を左右に打ち振るうのだが、画面に映る牝奴隷姿の女も同様に首を振ると、その悲壮感はドンドンと増していく。
 それに耐えられず、瑠華の眉が悔しさと恥ずかしさでギュッと歪められ、目尻からは涙がツーっとこぼれ落ちてしまった。

「やっと自分の置かれた状況を、正確に理解できたようですね」

 常磐はツカツカと瑠華に歩み寄ると、頬を滴った涙を指先で拭い取り、瑠華の顔を覗き込む。
 そして、脇に立つ黒ツナギの男から黒い布袋を受け取ると、おもむろに瑠華の頭にスッポリと被せてしまい、袋の口についたベルトをギュッと締め上げた。

「うぐッ!!」

 首から上を黒い布袋で覆われた美女の姿に、常磐が満足そうに頷く。

「それでは、そろそろ行きましょうか」
「――んッ!?」
「貴女を本当の牝奴隷に仕立てる監獄へとご招待しますよ」

 その常磐の言葉が終わると、瑠華の両脇にいた黒ツナギの男たちが彼女の身体をガッシリ掴んだ。

「んーッ!? んむーッ、むーッ!!」

それに対し、瑠華は口枷の下で言葉にならない呻き声をあげ、拘束された身で必死に抗おうとする。
 だが、厳しく拘束された身ではたいして抵抗もできず、彼女は男たちに引き摺られるようにして外へと連れ出されていった。

「さて、貴女はどれくらい保ってくれますか……」

 連行されていく瑠華の姿を見送りながら、常磐は静かにひとり呟いた。
 そして、懐からスマートフォンを取り出すと、撤収作業の指示を部下たちに次々と出していくのだった。





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