虜囚将校[2] ―猛る武人の国の女性将校の苦難―

【5】明かされる裏切り

 綾乃は身体は固定していた鎖を外されて、床にひかれたマットの上へと移動させられていた。

――全頭マスクと拘束衣を装着したまま両腕を胸の下で組むように拘束が直された。

――ポンプギャグは抜き取られて黒ゴムに覆われていた頭部から口元だけが露出する。ルージュがひかれた唇を押し広げて、代わりに装着されるのはリングギャグだ。

――シリコンでコーティングされた金属のリングが唇を押し開き、ガッチリと噛まされる。顎が開かんばかりに口を開かせるリングから、唾液に濡れる綺麗なピンク色の口腔がみえる。そこから観念したように舌が突きだされて、たらたらと涎をたらしてしまうのだ。

――マットに膝をつかされた綾乃は背中を押されて上体を前に押し倒す。

――下半身は開脚棒で閉じられないまま、腕も封じられた彼女は顔と肩で上体を支えてみせるしかない。その結果、高々と尻をあげる屈辱的なポーズにさせられるのだった。

 無惨にも鞭痕が刻まれた尻の谷間には、押し込まれた拡張用のアナルプラグの紐が垂れ下がっていた。
 比奈子はそれに指をかけるとゆっくりと引き抜いていく。

「あッ、あぁぁぁん」

 わずかな抵抗ののち、ズルリと腸液にまみれたブラックメタルの球体が産み出される。さらに紐を引けば数珠繋ぎになった新たな球体が抜き出されていく。
 そうして六つの球体を吐き出した菊門は、すぐに口を閉じられずにいた。
 比奈子を両手で尻肉を押し広げると、そのポッカリと開いたままの尻穴を嬉しそうに観察しだした。
 赤グローブに包まれた指が差し込まれて、内部の感触を確かめていくと、綾乃が甘い声で啜り啼きはじめていた。

「あぁぁぁン……」
「気持ちよさそうな声をだしてますね、アナルは処女だったはずなのに、入念に仕込んでもらったみたいですね」

 言葉は聞こえずとも注がれる熱い視線を感じているのだろう。恥ずかしげに振られるヒップに、比奈子の平手が振り下ろされる。

「動いたら、よく見えないじゃないのッ」

 さらに平手が振り下ろされ、鞭痕の残る尻肉に朱の手形が上書きされていった。

「あははッ、どう? 鞭とは違ってこちらも屈辱的でしょう? あの皇 綾乃をこうして尻叩きできるなんて嬉しいわね」

 ハァハァと息を乱してようやく手が止められた時には、肉丘は真っ赤に染め上げられていた。

「あぁ、ごめんなさいね。つい綾乃を好きにできると思ったら興奮しすぎたわ」

 一転して猫なで声になった比奈子は熱をもった尻肉へと頬擦りしだす。そのまま舌を這わせて、自らの唾液を塗り込んでいくように全体を舐めまわしていくのだ。
 その舌先は谷間を下り、ついには肛門へと達してしまう。いまだ口ひらいたままの後ろの穴へと迷うことなく唇が押し付けられていた。

「はぁッ!? ひゃ、ひゃめへ……」
「うふふ、嫌がって可愛い。そういえば綾乃は、恋人だったときも触れられるのを嫌がってたわよね。いつか、こうやってアナルを可愛がってあげようと思ってたのよ」

 アナルセックスなどの知識はある綾乃だが、彼女にとって肛門は排泄する器官でしかないのだ。
 恋人である比奈子が会瀬の際に触れようとした際も、随分と嫌がっていたのだ。
 それはヴェロニカによる肉体改造を受けてからも変わらない。異物を挿入される感覚に嫌悪するのだが、それでも肉体は徐々に慣らされて肛門で感じるようにまでされてしまっていた。

「――はぅッ!?」

 柔らかな舌先が入り込んできた。突きだしたヒップを揺すり振り払おうと試みる。だが、腰を掴まれてまるで蛭のように張り付いて離れないのだ。
 アナルフックを咥えていたことで括約筋も緩んでいた。ヌメヌメとした唾液をまぶした舌の侵入を拒むこともできない。
 まるで軟体生物のように長い舌が入り込み、内部で蠢く感覚におもわず嫌悪の呻きをあげてしまう。
 対する比奈子の方はご念願であった綾乃の肛門を堪能できてご満悦だった。彼女には肛虐の趣味もあり、この日のために主であるヴェロニカに願い出ていたことが、もうひとつあった。

――綾乃のアナル処女を奪う

 その願いにヴェロニカは応えて、綾乃のアナルに対しては拡張と感度アップに専念して、本格的なアナルセックスはしてこなかったのだ。
 それも信頼していた副官であり恋人であった比奈子にアナルを犯されたという事実が、綾乃の心を責めるのに効果的だと判断したからだった。
 そして、その時は目前と迫っていた。十分に綾乃のアナルを堪能してほぐした比奈子は、腰にぺニスバンドを装着していく。
 潤滑ローションを塗られるのは、ヴェロニカが愛用のディルドゥと同様のものだ。生々しいほどにリアルに男根を模したディルドゥが粘液で妖しく濡れ光っていた。

「さぁ、これで後ろの処女を奪ってあげるわね」

 比奈子は興奮した様子で切っ先を押し当てると、激しく嫌がる綾乃へと腰をゆっくりと進めていく。

「な、なにほ……ほぅ、ほぅほへひはひひゃひょぅ!!」
(な、なにを……もぅ、もうお尻は嫌よ!!)

 すでに解しきった菊門は、極太なディルドゥの侵入も許してしまう。括約筋を限界まで押し広げた黒光りする男根がズブズブと砲身を埋没させていった。
 腸内をパンパンに埋めながら奥へ奥へと進んでいく感覚に、全頭マスクで覆われた頭部が左右に振られた。
 その反応もまた、無理矢理奪っている感覚を後押しして、比奈子の嗜虐欲を満たしてくれた。
 細腰を掴むと、一気に挿入を深めてしまう。

「ひッ、ひひゃッ――――ほふぅぅッ!!」
(ひッ、いやよッ――――おうぅぅッ!!)

 根元までディルドゥを押し込まれて、全頭マスクの下で綾乃は悶絶していた。
 すぐに本格的なピストン運動も開始される。パンパンと腰を打ちつける音を響かせで、内蔵ごと突き上げられるかのような衝撃に襲われる。
 そして、どんなに嫌悪しようともヴェロニカによって開発された肉体は、すぐに呼応しはじめるのだ。
 気づけば堪えようとしても、甘い吐息が溢れだしてしまう。
 肛門を犯されて、好き放題に蹂躙されているのが悔しくてたまらないのに、官能が溶け出すのを隠すこともできないのだ。
 胸の下で組まされた黒ゴムで覆われた指が虚空をさ迷い、強く握られる。
 犯している方の比奈子も、ついに念願だった綾乃のアナルを犯せて感動に身を震わせていた。
 しかも、早くも肛虐の愉悦を感じはじめてくれているのだ。ギュウギュウとディルドゥを締めつけてくるのがわかり、まるで男になった本物の剛直で犯しているような錯覚まで感じてしまう。
 それとともに快感が高まるにつれて、もっと綾乃のことをいたぶりたい衝動にも駆られていた。
 強靭なピッチでピストン運動を繰り出す一方で、綾乃の上体を引き起こすと両手でわし掴みする。柔らかく張りつめた双乳に深紅の指を埋めて上下に揺さぶる。

「あ、あふぅ、ひ、ひひゃぅぅンッ」
(あ、あん、い、いやぁぁンッ)

 荒々しく乳房を揉みたてられ、指の間に浮き出ている乳頭を挟み込まれる。綾乃の嗚咽は次第に高まり、肛虐の魔悦へと陶酔していく。
 リングギャグの穴から舌を突きだして、切なげな熱い吐息をはく。その姿に比奈子の興奮も限界まで迫っている。
 全頭マスクで覆われた頭部を振り向かせて、その唇を奪うように重ねる。リングギャグの穴から舌をからめ取られて吸われた。

「あぁ、可愛いよ、綾乃。もっとメチャクチャにしてあげたいぐらいにね」
「あぁぁン、ん、んんッ、はぁぁぁぁ、あぁンッ」

 綾乃の唇はなんと甘美なことだろうか。恋人として付き合っていた頃よりも欲望に忠実なだけに、今はより強く感じてしまうのだ。
 それは綾乃も同様であった。自分からふるいつくように舌を差し入れて、濃厚なベーゼを交わして互いの官能を溶かしていくのだ。
 そうやってアナルで交わり、唇を重ねるふたりは強烈な興奮に押しやられて、絶頂へと近づいていく。
 深々と挿入してディルドゥで比奈子が腸内をかきまわしてやると、綾乃は拘束された裸体をビクン、ビクンと痙攣させて嗚咽をあげる。

「そら、逝け、逝きなさいよ」

 キリキリと締めつける肛門。それを抉るような仕上げのピストン運動に、綾乃のよがり声は止まらなくなっていた。
 そうして、切羽詰まった声で放った比奈子は最後のひと突き。それは綾乃の激しいエクスタシーを感じさせるとともに、心身に肛虐の魔悦の烙印を刻み込むのだった。


 はぁ、はぁと激しく息を乱しながら綾乃は、はじめてのアナルでの絶頂の余韻に浸っていた。
 媚薬に催淫効果で霞かかっていた頭が、徐々に鮮明になってきていた。それによって、汚らわしいとすら思っていた排泄器官での性行で達してしまった事実に悲しい気持ちにされる。だが、肉体はこれまで以上に充実させられいることに戸惑いを覚えてしまう。
 アナルを犯した相手に激しい憎しみを覚えるはずなのに、背中に重ねられた温もりにどうしても安堵してしまう心があった。
 その戸惑いが、聡明な彼女にある可能性を気づかせていた。そして、それが間違いでないとすぐにわかるのだった。

――頭部を覆っていた全頭マスクが剥がされたのだ。
 
 突然、差し込んだ光に闇に慣れてしまった目が眩んでしまう。徐々に回復する視界が捉えたのは正面で見下ろすヴェロニカの姿だった。
 そうなると当然、背後に乗るのは別人ということになる。
 恐る恐る背後へと向けられる彼女の目が、すぐに大きく見開かれることになった。
 そこには、信頼する副官である親愛する恋人である風見 比奈子の顔があったからだ。
 だが、すぐにそれが比奈子だと認められなかった。そこに浮かぶのは堅物と思われる気難しそうな副官の表情でも、会瀬を交わしたさいの親愛の眼差しの表情でもない。彼女をまるで家畜でも見るような冷めた目をした女がそこにはいたのだ。

「ひゃ、ひゃんへ……」
(な、なんで……)

 呆然と呟く綾乃に、比奈子は笑みを浮かべてみせる。

「なんでって、それは私がここにいること? それとも貴女を裏切ったこと? それなら私は最初からヴェロニカ様の配下で、綾乃をこうして罠にはめるために恋人のフリをしていた……そういえば満足するのかな?」
「ふ、ふほよ……」
(う、うそよ……)

 比奈子の言葉を信じたくはなかった。それでも彼女の聡明な頭脳は相手の言葉が事実だと弾き出していた。
 思えば、いくつものタイミングで気づくチャンスはあった。だが、比奈子に一目惚れした時点で知らず知らずのうちに冷静な判断ができなくなっていたのだ。
 信じたいという想いから、救援部隊がいつまでも来ないのも比奈子の身に異常が発生している判断して、ヴェロニカの言葉を信じてしまったのだ。

「あぁ、いい顔ね……絶望で歪む顔は格別だわ。でもねぇ、ひとつ訂正するなら、綾乃のことを好きなのは事実よ。だから、こうしてお尻で愛しているじゃないですか」

 比奈子が背から離れると、再び腸腔を貫くディルドゥが動き出した。その途端、背筋を震わせる甘い痺れが駆け抜ける。

「ひゃ、ひゃめ……」
(や、やめ……)
「あら、どうして? アナルは処女だったのでしょう? でもヴェロニカ様に入念に仕込んでいただいたから凄く感じるよねぇ、うふふッ、綾乃のアナル処女を奪えて嬉しいわ」
「どうひへ……なんへ……」
(どうして……なんで……)

 まだ、相手を信じたい気持ちが残っているのだろう。綾乃は涙で濡れる瞳で見上げてくる。
 だが、比奈子はそんな気持ちを踏みにじるようにアナルを犯しながら冷笑を浮かべて答える。

「実は恋人ごっこをしている間も、ずーっと綾乃のアナルをこうして犯したかったの。でもね、貴女は触れさせもしなかったでしょう、そこだけは不満だったかなぁ……だからねぇ、綾乃を捕らえるのに頑張ったらアナル処女をご褒美にもらえるようにお願いしたの」

 そう言って比奈子は、彼女のカプセルに遅効性の麻痺薬を忍ばせたことや、裏工作の数々を楽しそうに語ってみせると、「だから、ヴェロニカ様もアナルに関しては感度開発と拡張だけで随分と優しかったでしょう?」と笑ってみせるのだった。
 綾乃は比奈子が無理矢理に協力させられている可能性に望みをかけていたのだろう。だが、彼女の口から率先して今回の事件に関わっていた事実を知らされて、さらなる追い討ちを受けることになった。
 呆然自失となった綾乃の様子に、ふたりの嗜虐者は顔を見合わせて乾いた笑みを浮かべる。

「それじゃ、本格的にアナルの可愛がってあげるね」

 綾乃の身体を抱え込んだ比奈子は、そのまま後ろに寝そべってみせる。比奈子の上でアナルを貫かれた綾乃は仰向けになった状態だ。
 そこに同じくぺニスバンドを装着したヴェロニカが覆い被さってきた。

「さぁ、今日からは二本挿しも覚えてもらうわね」

 ニタリと笑う言葉の意味を、呆然とした綾乃はすぐに理解できない。それでも新たなディルドゥが秘唇に押し当てられるとハッとしたように正気に戻った。

「ま、まひゃか……」

 秘唇を押し広げて、二本目の極太ディルドゥが挿入されていく。体内に入ってこようとするその圧迫感に恐怖を感じて後ずさりしようとする。
 だが、背後にいる比奈子がきつく抱きついて、それを阻止してしまう。
 そうでなくても綾乃の身体は厳しく拘束されて開脚棒によって股開きを強要されている。相手の狙いがわかったとしても彼女には止める手段などは最初からないのだった。

「あら、後ろにも入ってるからキツキツね。でも、ほーら、すぐに馴染んでくるわよ」
「ひゃ、ひゃめ――はあぁぁぁぁぁ」
 
 腸腔を満たすディルドゥに加えて、膣洞も新たなディルドゥで徐々に満たされて、まるで体内を串刺しにされた状態だ。

「さぁ、天国を見せてあげるわね」

 ふたりが腰をゆっくりと使いはじめると、皮一枚で隔てて二本のディルドゥがピストン運動を開始された。
 膣肉を抉られる痺れるような快感に、新たに覚え込まされた甘い肛虐の魔悦が加わり、その相乗効果による激しい刺激に綾乃はすぐに錯乱状態におちいってしまう。
 ギシギシと拘束を軋ませる綾乃を、ふたりはサンドイッチにして、それぞれの欲望を満たそうと犯し尽くしていく。
 二本の極太ディルドゥで前後の穴を貫かれ、比奈子の指が乳房に埋め込まれて激しく揉みあげれば、ヴェロニカの繊細な指が硬く尖る乳首を摘まんでみせる。
 それに肉芽を責めるリングの振動が加わり、見開かれた目からは涙を流し、噛まされたリングギャグの穴から突きだされる舌。
 それを嗜虐の快感に酔いしれるヴェロニカは美味しそうに吸いあげる。

「うむ……むむぅ……」

 どんなに心で拒否しても、もう隅々まで改造された肉体は抗えなくされていた。
 あらゆる刺激を快楽に変えて、激しい肉悦として全身を駆けまわり、脳を真っ白に染め上げてしまうのだ。
 やがて綾乃は狂おしい身悶えとともに、オルガスムスを迎えさせられた。その陶酔した表情には、被虐の悦楽が確かに浮かんでいるのだった。


もし、読まれてお気に召しましたら
よかったら”拍手ボタン”を
押して下さいませ。


web拍手 by FC2