淫獣捜査スピンオフ 国民的アイドルとの休日'

【4】二つ目の要望

 調子にのった俺は、行き交う通行人の前で玲央奈を何度も絶頂へと昇りつめさせた。
 お陰で玲央奈が再び歩けるようになるまで、随分と時間を要してしまった。
 ようやく俺のマンションに戻ってきた時には、零時をまわっていた。
 グッタリとした様子の玲央奈からコートを脱がしてやりソファに座らせる。
「ちょっとやり過ぎたかもな……」

 焦点の合ってない瞳を覗き込んで口枷を外すと、流石に反省するしかない。
 気付け薬の代わり、強めの酒を口移しで少しずつ飲ませてやることにする。

「――んんッ、げほッ、ごほッ」

 激しく咽ながらも意識を取り戻した玲央奈に、今度はミネラルウォーターのボトルを開けて差し出すとゴクゴクと美味そうに飲み干していく。

「ぷはーッ、生き返った」
「悪いな、少しやり過ぎたみたいだな」

 謝罪の言葉に玲央奈は苦笑いを浮かべて首を振るだけだ。
 そんな彼女からブーツを脱がせていくと、裸足になった美脚をマッサージしてやる。
 絶頂時に無理な力が入って身体が強張っていたようだ。徐々にほぐしていくと気持ちよさそうに目を細めていく。

「あぁ、気持ちいい」
「こりゃ、さっきのだけじゃないな……随分と疲れが溜まっていただろう」
「実は明日は一年ぶりのオフなのぉ」

 すっかり身体を弛緩させた玲央奈は、嬉しそうに語ってくれた。
 事件による隔離で休んでしまった分を、これまで頑張って取り返してきたらしい。
 そうして、ようやく取れた貴重な休日を俺のところで過ごそうと思い立ったようだ。
 事前に道具は用意していたとはいえ、俺の方には事前に連絡はなかった。
 たまたま俺が帰宅したからよかったものの、そうでなかったらどうするつもりだったのだろうか。
 だが、そこに至って俺らが連絡先を交換していなかったことに気づいてしまう。

「そういえばそうだよなぁ」

 事件後はすぐに隔離されて、それが解除されても元々の接点もなかったために会う機会もなかったわけだ。
 まさか、こうして玲央奈の方から尋ねてきて再会できるとは思ってはいなかった。

「なので、凄く頑張ったアタシを次は甘やかせて欲しいかなぁ」

 急に甘えモードになった玲央奈はマッサージに味をしめたのか、次々と我がままを言い始める。
 それを苦笑いをしながらも、俺は応えていくのだった。

「冷蔵庫に残っている材料で調理するから味は期待しないでくれよ」

 空腹だと訴える玲央奈の要望で、急遽料理をすることになった。
 水を張った鍋に火をかける一方で、集めた食材を細かくスライスしていく。
 フライパンで刻んだニンニクの香りをオリーブオイルに移すと、カットしたソーセージ、ピーマン、玉ねぎを放り込んでいく。
 火が通ったところでトマト缶を投入して、みりんと砂糖、ケチャップで味を整える。
 それを弱火で煮込みながら、沸騰した鍋でパスタを茹で始めた。
 そうして、出来上がった両者を混ぜ合わせてバターを加えれば、即席のナポリタンの完成だ。

「あーん」
「えー、俺が食べさせるのかよ」
「いいじゃん、だって腕は拘束されたままだもん」

 いまだ後ろ手に拘束されたままの玲央奈は、それを理由に子供のように甘えてくる。

「へいへい、火傷しないようにお気を付けてくださいませ、歌姫様」
「うむ、美味である」

 苦笑いを浮かべながらも調子を合わせれば、ケラケラと笑って実に満足そうだ。
 その姫様待遇に味をしめたのか、玲央奈はだんだんと調子にのってきたようだ。
 ワインを口移しで飲ませて欲しいと駄々を捏ねてくる。先ほどの着付けで飲ませたのを覚えていたようだ。

「早くぅ」
「たくッ……しょうがないなぁ」
「えへへ、やったーッ……んッ、んぐぅ……」

 安物の白ワインを口に含んで飲ませる行為は、まるでひな鳥に餌を与える親鳥のようだった。
 だが、お互いに疲れた身体に徐々にアルコールがまわり始めてくると、その雰囲気も変わってくる。
 いつしかお互いに見つめあい、息を乱しながらの熱いキスへと移り変わっていく。
 舌を絡めあいながらアルコール交じりの唾液を嚥下していった。
 長いキスの息苦しさに離れるものの、ふたりを繋ぐ透明な糸が切れる前に、再び吸い寄せられるように唇を重ね合わせていた。
 興奮でアルコールがさらにまわり、流石に歯止めが利かなくなってくる。
 俺の右手は拘束衣に絞り出された玲央奈の乳房に触れていた。
 パンパンになるほど張りを強めた肉丘は、熱をもち敏感すぎるほどに感覚が高まっていた。
 キスを交わしながら汗の珠を浮かせる表面に指を這わせてゆっくりとラインをなぞっていくと、玲央奈は鼻息はますます激しくなっていくのだった。

「――あぁぁッ」

 わし掴みするように双乳に指を喰い込ませていた。
 弾力ある乳房へと指を埋めながら、手のひらで乳首を押しつぶしていく。
 ソフトなタッチから一転しての荒々しい揉み立てだ。
 先ほどまで鰐口クリップで挟まれてジンジンしていた乳首を刺激されて、たまらず玲央奈は眉根を寄せてキスを振りほどいていた。

「くあぁぁぁぁン」
「痛いか? でも、今の玲央奈なら気持ちよくもあるんだろう?」

 支配され、荒々しく蹂躙される感覚に、苦しみながらも被虐の愉悦を感じているのだろう。
 俺の指摘にコクリと頷いた玲央奈の瞳には、あきらかに陶酔の気配があるのだった。
 ソファから床へと膝をついて、潤んだ瞳を見上げてくる。
 今の彼女が何を求めているのか、それだけで伝わってきた。

「……ご奉仕させて下さい」

 しばらく見つめあっていると、玲央奈からそう切り出してきた。
 鷹揚に頷いた俺はグラスを片手にソファに座りなおすと、脚の間に玲央奈を置いてやる。
 先ほどまではお姫様気分でいたアイドルが、今度は足元に跪いて奴隷として見上げている。
 その姿に俺は大いに嗜虐欲を刺激されていた。

「好きに奉仕してごらんよ?」

 後ろ手に拘束されたままの玲央奈に意地悪く告げていた。
 それに少し戸惑いをみせたものの、コクリと頷くとゆっくりと股間へと顔を埋めてくる。
 口を開いてズボンのファスナーを咥えてくると、そのまま器用に引き下ろそうとする。
 そうやって次は興奮で痛いほど勃起している俺の男根を外に出そうと奮闘するのだった。

「んッ、はぁ、はぁ……んんン」

 可愛らしい鼻先を押し付けて、唇と歯を使って下着から引き出そうと悪戦苦闘する。
 熱い吐息を吹きかけられ、彼女の唇や歯が薄い布越しで触れてくる。
 国民的アイドルである玲央奈のそんな姿を見れる貴重なひと時だが、いかんせん俺の方も興奮して限界が近かった。
 先に音を上げたのは俺の方だった。

(なかなか上手くいかないものだな)

 限界を先に迎えてしまい苦笑いを浮かべるしかない。自ら男根を引き出して、玲央奈の前に突き出していた。

「あぁぁ……」
「舐めてくれるかい?」

 雄の匂いにウットリとする玲央奈は、引き寄せられるように肉茎へと舌先を押し付けてくる。

「おッ……おぉ、上手くなってるな」
「えへへ、嬉しい」

 あとで聞いた話では、淫らな夢から目覚めると、それを反芻するように購入したバイブレーターを使って復習していたそうだ。
 その練習の成果を褒められて嬉しかったらしく、さらに熱を入れて奉仕してくれた。
 舌腹を押し付けて肉茎に唾液を塗り付けると、そのまま舌先を下げて陰嚢まで舐めてくる。
 はじめて触れる部位故に感覚がわからないのか、強すぎる刺激に俺が細かな指導をしてみせた。
 一を教えれば十を理解する。玲央奈に教えてのはそんな感覚だ。理解が早く、それを応用するのも上手い。
 みるみるフェラチオ奉仕が上達していくのに驚かされる。

「んッ、んふぅ……」
「あぁ、そうだ。いい感じだ……玲央奈は、ちょっと教えただけで凄い上達するな」
「えへへ、レッスンなら任せてよね」

 ついに肉棒を口に咥えると、徐々に根元近くまで呑み込みこんでいく。
 流石に歌手の喉を傷める可能性に俺も躊躇してしまう。そこまでやる必要はないと伝えるのだが、玲央奈の方がそれには納得はせず、しょうがなくイラマチオのような激しいプレイを避けることで妥協したのだった。

「んッ……んぐぅ……うふぅ……」
「くぅ、いいぞ。気持ちいい」

 奉仕する過程で、どこを刺激すれば俺が反応するか理解したのだろう。
 本格的にフェラチオ奉仕を開始すると、俺の方が余裕がなくなってしまう。
 甘美な刺激を与えているのが、あの翠河 玲央奈という事実がより興奮を押し上げてくれる。
 俺が心地よく声を上げるのに気をよくして、玲央奈の奉仕はますます熱が入っていくのだった。

(凄いな、どんどん上手くなっていく)

 誰もが知るアイドルである玲央奈と密会して、こうしてSMプレイで彼女を自分色に染め上げていく背徳感と高揚感は凄まじいものだ。
 のめり込んでしまうのは危険だと理性では訴えるのだが、彼女がどこまで上達するのか、そして堕ちていくのか、正直、見てみたいという欲望の方が勝ってしまっていた。

(無粋だったな、今はこの時を楽しまないとな)

 跪く玲央奈の膝の内側に足を滑り込ませると、そのまま股間へとつま先を押し当てる。
 ゴムパンツの内側で二つ穴を貫くバイブレーターをグリグリと押し上げれば再び愛液が溢れ出してくる。
 さらにコントローラーで稼働を再開すれば、口腔奉仕しながら腰を跳ねてしまう。
 それを見下ろしながら奉仕を感受する俺にもついに限界が迫ってきた。

「うッ……さぁ、玲央奈も一緒に逝きな」

 高ぶり続ける興奮に、ついに俺も耐え切れずに爆ぜてしまう。
 想いのままに白濁の精液を玲央奈の口腔へと放出する。

「む、むぐぅぅ……」

 口内射精の感触に玲央奈は驚き、目を見開いていた。
 だが、次々と注ぎ込まれる精液をけっして吐き出したりはしなかった。
 涙目になりながらも必死に耐えてみせながら、自らも奴隷奉仕による嗜虐の悦楽を噛み締めてエクスタシーをむかえるのだった。

「ふぅ……大丈夫か? 吐き出していいんだぞ?」

 お互いに至福の余韻を堪能すると玲央奈は、口内で受け止めていた精液を少しずつ飲み込んでいった。

「ちょっと独特な味でビックリしちゃった」

 一滴も零すことなく精飲を終えるとニッコリと微笑んでみせる。
 そうして、今度は舌先で男根を清めてまでしてくれるのだった。


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