獄姦学園 生贄の新任女教師

【1】新任女教師

 春を感じされるポカポカとした陽気の中、草薙 結衣(くさなぎ ゆい)は久々に訪れた生まれ故郷の街を感慨深く見つめていた。
 東京から離れた地方都市であるけど、新幹線のお陰で交通の利便性もよく今ではさほど距離を感じさせない。

「わずか数年だけど、街並みも随分と変わったわね」

 三年前、突然の両親の離婚によって東京の祖母の家から都内の大学へと通っていた彼女は、そのまま母親とともに定住することになった。
 彼女には仲の良い弟がいたが、そちらは地元の有名中学に通っていた為、跡継ぎにすると父親が引き取ることになったと、実家に戻ってきた母親から一方的に告げられた。
 事前に離婚に対する相談もなければ、それに至った経緯の説明すらない。お互いに我が強く、何事にも結果だけを重視する両親らしくもあったが、それに振り回される身としてはたまったものではなかった。
 結衣は大学を卒業したら自立するために一人暮らしをすることを決意したのも、そういう理由があった。
 そんな彼女の心残りはひとり残してきた弟のことだ。
 幼い頃からいつも一緒にいたがり、彼女が通う空手道場にもついてくるほどのお姉ちゃん子だった。
 離ればなれになったことにショックを受けているだろうと心配していたら、やはり懸念していた通りになったようだ。
 連絡をくれた地元の友人の話では、有名校への受験にことごとく失敗して、県下でも不良どもの溜まり場として有名な最果学園に入学したらしい。
 何事にも最上の結果を求め、一流であることを義務であるかのように教育をしてきた父親がそれを許すわけもなく、今では完全に息子はいないものとして扱っているらしい。
 その事を知り、結衣は地元に戻ることを決意する。
 幸いなことに恩師が弟の通う学園で学園長をしており、急な欠員がでていることを教えてくれた。
 雇用条件も悪くなく、すぐに連絡を取ると教師として採用してもらえる運びとなった。

「おめでとう、結衣」

 春には念願だった教師になることが決定して周囲は祝福してくれた。
 だが、その勤め先が最果学園だと知ると一様にして彼女に辞退するように薦めてきた。
 それほどまでに悪評高い学園なのだが、彼女は意に介さなかった。
 持ち前の気の強さに加わり、全国大会で準優勝するほどの空手の腕前が彼女の自信となっているのだ。
 並みの男を相手にしても負ける気はなく、実際に痴漢や暴漢を取り押さえてみせたことも多々あった。
 だからこそ余計に、弟と同い年の学生たちを相手にすることに心配などしていないのだった。
 その後、卒業して新居となるマンションへの引っ越しも無事に終わった。
 日々の鍛錬でつかうトレーニング器具を並べた部屋に、書斎を兼ねた寝室の2LDKの間取りだ。
 新社会人の一人暮らしにしては広い物件だが、恩師が知り合いの不動産屋と交渉して格安で借りてくれていた。
 若者向けのショップが多い?華街にも近く、ひとり暮らしの女性でも安心できるようにセキュリティもしっかりしているので、下見した時点ですぐに気に入った。
 六階のバルコニーからは、明日から通う校舎が遠くに見えた。

「明日から愉しみね、アタシが教師として現れたらあの子も驚くだろうなぁ」 

 悪戯を画策する子供のように意地の悪い笑みを浮かべながら、結衣は新生活に胸を高鳴らせているのだった。


 彼女が勤めることになった最果学園は、彼女のマンションから駅前の繁華街を挟んで反対に位置する。
 問題児ばかりで悪名が高いわりに、校舎は最近になって建て替えたのか真新しい建物だ。
 敷地内も清掃が行き届いており、外観からはとても不良のたまり場のようには見えない。
 だが、一歩足を踏み入れてみれば風紀の乱れを肌で感じられる。まともに制服を着ている者はおらず、派手な髪型やピアスをしている者も多い。
 一応、共学らしいが女子の姿も非常に少ない。たまにいても風俗嬢のような派手な化粧をして、漂ってくる強い香水の香りには眩暈がしそうだ。

「これは、想像以上に荒れてるわね」

 若い女の教師が赴任してきたとすでに情報が流れていたらしく、恩師である山木田 玲子(やまきだ れいこ)学園長に案内されて廊下を歩く結衣の姿を見ようと雁首を並べていた。
 上品なスーツに包まれた妙齢な女性である学園長に連れられて歩く結衣。真新しい濃紺のスーツズボンに包まれた彼女の肢体をジロジロと見てきては、生徒たちはそのプロポーションの良さに涎を垂らさんばかりにニヤけている。
 その遠慮のない視線を注いでくる彼らに、思わず結衣は苦笑いを浮かべていた。

(女性に興味津々なのはわかるけど、ここまで露骨だと逆に清々しい気分にさせられるわね)

 学生時代には何度も芸能プロダクションにスカウトされた彼女だから、自分が男たちに好まれる容姿であるのを自覚していた。
 日々の欠かさぬ鍛錬によって無駄なく絞り込まれた肉体、それでいてバストやヒップは女性としての魅力を損なわずに丸みを帯びている。
 キリリとした目元には彼女の気の強さがよくあらわれており、中性的で端正な顔だちに空手の大会では熱烈な女性ファンもついていたほどだ。
 そんな彼女が首の後ろでまとめた黒髪を靡かせてスーツ姿で颯爽と歩く。その姿に当初は若い女教師だとはしゃいでいた生徒たちも、おもわず見惚れてしまっているのだった。

「へぇ、こりゃまたイイ女が来たなぁ」

 そんな結衣のことを別棟から密かに観察している者たちがいた。
 この学園でもっとも厄介な不良生徒である三年の鮫島 冷司(さめじま れいじ)をリーダーとしたグループだ。
 万引きや喧嘩などで補導歴を競う生徒たちの中で、このグループだけは警察の世話になったことがない。
 だからといって彼らが真面目な生徒では決してなかった。
 リーダーである鮫島の父親は、この周囲を縄張りとしている暴力組織、峡東組の組長であり、メンバーも親族がその構成員なのだ。
 卒業すれば盃を交わすのが決まっている彼らはいわゆる準構成員のようなもので、狙った獲物を必ず仕留めて、骨の髄までしゃぶり尽くことに躊躇はなく、実際に実行してみせている。 
 そんな鮫島が大人でも怯む鋭い眼光を宿した瞳を結衣に向けて、その口元を愉しげに歪ませていた。

「なかなか気が強そうで、鮫島さんの好みっスよね」

 鮫島が無造作に咥えたタバコにライターを差し出すのは、柴咲(しばさき)という童顔の少年だ。
 メンバーの中では唯一の一年生で、フワフワとした髪と柴犬のように人懐っこい顔立ちで仲間からも”シバ”と呼ばれて可愛がられている。
 だが、常に浮かべている笑顔の下には殺人の罪で刑務所に服役中の父親譲りの凶暴さを秘めており、一度キレると手がつけられないほど凶暴になるのだ。
 そして、もっとも鮫島のことを心酔しているのもこの少年だった。彼に命じられれば躊躇なく人も殺しそうな危うさをもっている。
 
「あぁ、聞いたところじゃぁ、空手を結構使うらしいぞ。そういう女を快楽漬けにして牝奴隷に堕とするのは俺の趣味みたいなもんだからな」
「ぷっはッ、趣味っスか、マゾ奴隷に調教された上げくに娼婦に堕とされた裕美のヤツも気の毒ってもんっスよ」

 柔道の黒帯という触れ込みでやってきた前の担任であった坂上 裕美(さかうえ ひろみ)もなかなかの美女だった。
 実際に柔道の腕前も大したもので、まともにやれば鮫島も敵わなかっただろう。
 だが、組長の息子として育てられた鮫島は正々堂々と対決などしないし、手段も選ばない。
 帰宅途中を襲い、スタンガンで麻痺させて連れ去ると、監禁して仲間で犯しぬいたのだった。
 そうして、飽きたら組に性奴隷として売り払ってみせたのだ。

「バーカッ、よくいうだろ、趣味と実益を兼ねているんだよ。好きなことやって金の入ってくるんだから天職だよなぁ」

 周囲にいた不良たちも鮫島の言葉にドッと笑う。その中央には彼らに囲まれる全裸の女性の姿があった。
 後ろ手に緊縛された状態で床に膝をつかされた彼女はバックから犯され、別の男の股間に顔を埋めさせられていた。

「んッ、んぐぅぅ」

 喉奥まで肉棒を突っ込まれて、苦悶の呻きをあげている。サラサラとしたショートヘアの髪をわし掴みにして上下に揺すると、頬を窄めて肉茎を扱くように強要される。
 その一方で絞り込まれた細腰を掴まれ、パンパンと腰を打ちつけられて膣壁を抉られていた。
 女性の名は川居 奏子(かわい そうこ)。婚前旅行として婚約者とともにこの地に訪れていた彼女は、鮫島グループに目を付けられて密かに攫われると、この校舎へと連れ込まれていたのだ。
 そこは特別教室が並ぶ棟の一角で、特別教室の機能も徐々に新校舎へと移されている最中で、空き部屋となって用途が決められていない部屋だった。
 本来なら施錠されているはずだが、鮫島らは鍵を入手してたまり場として活用している。
 そこに奏子を監禁して全員で犯し抜いている最中なのだ。

「――ぷはッ、あぁン、も、もぅ許してぇ」
「チッ、もう少しなんだから、いいからしゃぶってろ」
「んぐぅ、ぐぅぅ、うむぅぅ……」

 激しいイラマチオをおこない、容赦なく喉の粘膜を抉る。息もできず苦しげに緊縛された裸体を捩らせる彼女の姿に、周囲で酒を飲んで休憩中の仲間が嘲笑しながらヒップをバシバシッとスパンキングしていった。

「オラッ、こっちもサボってんじゃねぇよ、ホレ、ケツ穴も可愛がってやるから腰を振りやがれッ」

 肛門から垂れる紐を引くと、数珠つなぎになったボールが次々と姿をあらわしてくる。
 そのたびにビクン、ビクンと腰が跳ねて膣肉が強烈な締めつけをしてくるのだ。

「んんッ――ふごぅぅ……」
「よーし、すぐに俺様のザーメンを子宮に注いでやるからな」

 度重なる凌辱によって彼女の柔肌には男たちの体液が塗り込まれ、無数の歯型まで刻まれている。
 連れ込まれた時には気丈な態度で少年らを諭そうとしていた彼女も彼らの数々の凌辱行為によって、心を折られて悶え泣くしかできない。
 だが、いつしか自らも淫らに腰を振りだし、切なげに媚泣きを響かせていくのだった。

「そういう意味では、この女は期待外れでしたね。威勢が良かったのは最初だけでアッサリと屈服しちまいましたからね」
「あぁ、だからこそ俺は期待しているんだぜ、あの草薙 結衣先生にはよぉ」

 担任となるクラスの教室へと入っていく結衣の姿を眺めながら、鮫島らは乾いた笑みを浮かべるのだった。


 副校長に紹介されながら、結衣は教壇の上からこれから担任することになる生徒たちを見渡した。
 凶悪そうな面構えの生徒らを前にしても、結衣に動じた様子もない。道場にいる屈強な門下生たちに比べれば外見だけの虚仮威しでしかないのだ。
 そんな中に愛しの弟の姿をみつけてニンマリする。
 三年の間に身長は伸びて体格も随分とよくなっていた。不良たちに混ざってさやぐれて見えているが、やはり結衣にとってはカワイイ弟でしかないのだ。
 結衣も母親の姓を名乗っていたが、あちらもすぐに姉だと気づいたようだ。あんぐりと口を開けて、まるで陸に上げられた魚のようにパクパクさせている。
 驚かせることに成功して密かにガッツポーズを取ると、彼に対してウィンクを送るのだった。

(うふふッ、顔を赤くしてカワイイんだから)

 くだらない質問を飛ばしてくる他の生徒たちを軽くいなしながら、クスリと笑う。
 自己紹介を兼ねたホームルームも終わり、一度、教員室へと戻ろうとしたところで、結衣は背後から弟が凄い形相で駆けてくるのに気がついた。
 一緒にいた学園長にはうまく言い訳をつくり独りになると、追いついた彼とともに空き室へと身を潜ませた。

「何考えてるんだよッ、ヤクザ予備軍の巣窟みたいなところだぞ」

 いわゆる壁ドン状態で久々に再会した愛弟に密着されて、思わず浮かれそうになる結衣だった。
 だが、再会の喜びを噛みしめる間もなく、開口一番で叱られたものだから彼女はムッとしてしまう。

「な、なによぉ、最初にいう言葉がそれなの?」

 頬を膨らませて拗ねる姉に見上げられて、弟もウッと続く言葉を詰まらせてしまう。
 突っ張ってみせても、姉に甘い中身は変わらないようだ。
 対応に困っているところを結衣が畳み掛けてくる。

「久しぶり、元気だった? とかさぁ、まずは言うことがあるでしょう」
「ーーぐぇ、や、やめ……腹を殴るな……あ、姉貴のはシャレに……ぐぇぇ、わ、悪かったてぇ」

 ポカポカと可愛く殴るのではなく、鳩尾に拳がドスドスと叩き込まれる。密着された状態で威力はないが、それでも地味に痛い攻撃だった。

「本当にわかったの?」
「あぁ、相変わらず元気そうで安心したよ」
「えー、わかってないなぁ、そこは綺麗になったねでしょう? その様子じゃ、彼女もいないなぁ」
「バ、バカッ、姉貴にそんな歯の浮くようなセリフを言えるかよ」

 赤面して狼狽える弟に仕返しとばかりに結衣はイジり倒してくる。
 そんな姉との会話に久々に感じるぬくもりを感じて、彼も自然と笑みを浮かべるようになっていた。

「うふふ、やっと笑った。険しい顔しているより、そっちの方がよっぽどイイ男だぞ」
「はぁ……まったく姉貴には敵わないなぁ」
「そうよ、大抵の男はアタシに勝てないのを思い出したでしょう?」

 ビシッと空手の構えをみせると素早く上段蹴りを放つ。
 前髪を巻き上げる風圧とともにビタリっと鼻先で止められた足裏。それにたじろぐ弟に結衣はニッと笑ってみせるのだった。
 実戦派といわれる道場でも、結衣に勝てる男の門下生はいない。勝負になるのは師範代ぐらいで、確実に勝てるのは館主ぐらいだろう。
 そんな彼女だから学園内でまともに相手できる者はいないだろう。
 そして、その予想が正しかったことはすぐにわかることになった。彼女に早々にちょっかいを仕掛けてきた不良たちが次々と痛い目をみることになったからだ。
 そうして一週間もすると彼女の強さも生徒たちに認識されて、一目を置かれるようになるのだった。


 結衣はそれからも、やれ買い物に付き合え、やれ重い荷物を運ぶのを手伝えと、ことあるごとに理由をつけては弟を呼び出すようになり、彼も文句を言いながらも素直に応じていた。
 父親はすでに自宅にも帰ってこない状態で、しばらく顔も合わせていない。それでも学費と生活費はキチンと振り込まれているのは、離婚した妻に後継者としてわざわざ引き取った息子の世話もできないと思われるのも癪なのだろう。

「どちらも社会人としては有能なのにね……」
「ん? なんか言ったか?」
「んん、なんでもない。今日も夕ご飯は食べていきなさいねッ」

 有無を言わさず次々と用意されていく料理の山。育ち盛りの弟だけでなく、トレーニングルームで汗を流すのを日課にしている結衣も、大食漢なのだ。
 この細い身体のどこに入るのかと首を傾げなら、彼も食事に箸を伸ばしていく。

「こ、これは……」
「ふふーん、わかったかね?」

 幼い頃、両親の仲が悪くなかった時に母親が作ってくれた料理の味だった。
 いまでは朧げになっていた記憶が脳裏に鮮明に浮き上がってくる。
 テーブルを挟んで家族で手料理を食べる。ごく普通のことが、今はただ無性に嬉しいのだった。

(あぁ、やっぱり誰かと食べる飯は美味いな……)

 絆創膏だらけの姉の指に気づかないフリをしながら、姉の手料理にしみじみと幸せを噛み締めるのだった。
 そんな日々が続きひと月ほど経過すると、結衣の周囲も落ち着きだした。
 大抵の不良たちは彼女の実力に恐れをなし、その飾らない気さくな性格に心を許す者も増えてきた。
 残っているのは強さに自信がある者や彼女を倒すことで名乗りをあげようと画策している連中だ。
 お互いにライバルたちの様子を見ながら虎視眈々とチャンスをうかがっている状態なのだった。
 そんなことも知らず、結衣はその日も弟を連れ立って近所のスーパーで夕食の食材を買い込むと、自宅であるマンションへと入って行くのだった。
 その姿を物陰からジッと観察していた男いた。
 手にした一眼レフカメラでパシャリ、パシャリと撮影を繰り返すと、そっとひと目を避けるようにして姿を消していった。
 その男は峡東組が抱えている探偵社の者だった。
 昨今の情勢で暴力組織の置かれている状況は厳しいものだった。様々な法規制により、少しでも悪事の気配をさせれば警察が踏み込んでくる。
 そのため、峡東組の組長は跡継ぎである冷司には、悪事を働くには念入りな情報収集と緻密な計画が必要だと徹底的に教え込んでいたのだ。
 幼少の頃から悪の英才教育を受け続けた彼は、親の期待通りに狡猾で残忍な男へと成長していた。
 今回も結衣に狙いをつけると、その身辺調査から情報収集を開始したのだ。

「へぇ、弟がいるのかよ、それも自分の受け持ちのクラスにかよ……このことは、あのババァは知ってたのかなぁ。そうなら、ちょっと折檻してやらんといけねぇなぁ」

 届いた調査報告書に添付されていた結衣の写真を手に取りながら、鮫島はニッと鋭い犬歯をみせて笑う。
 それを脇で見ていた取り巻きの一人が、苦笑いを浮かべる。

「どうせ、知らなかったら知らなかったで、それで責任を追及するつもりっなんスよね?」
「まぁなぁ」
「へへへッ、あの女、普段は偉そうに澄まし顔をしている癖に、アナルにチ×ポを突っ込まれただけでヒィヒィ啼き叫ぶ姿はいつみても面白いっスすよね」

 彼らの悪事が露見しない理由のひとつに、学園長による手引きがあった。
 すに彼女も鮫島のグループの餌食となっており、従順な手駒と化しているのだ。学園内での不祥事はすべて揉み消し、校舎の一部をアジトとして提供までしているのだ。
 その見返りに組から多額の資金援助を受けており、老朽化が進んでいた校舎も建て替えることができたのだ。
 牝奴隷として仕えるとともに最近では積極的に悪事に手を貸すようになっており、結衣の前任者である坂上 裕美を鮫島がターゲットに選んだ時も、積極的に手伝ってきた。
 監禁中の不在を出張に行かせていると偽り、周囲を欺いてみせると、今度は新たな生贄として結衣という鮫島好みの美女を用意してみせた。
 教え子や知り合いをあたり、結衣を教員として誘ってきたのには、そういう裏の意図があったのだった。

「そういや、空手部の猿渡や柔道部の土肥も、ついにこの女に負けたらしいですぜ」
「あぁ、土肥の野郎なんて配下の奴らと拉致ろうとして返り討ちにあって病院送りだそうだな、報告書にもあったが、この女、空手の全国大会で準優勝までしてるらしいぞ」
「そりゃ、すげぇや。格闘バカの脳筋どもでも太刀打ちできないとなると、こりゃ少々手こずりそうっスね」

 猿渡も土肥も不祥事さえなければ全国級の実力の持ち主なのだ。それらと対等以上に渡り合える者はこのグループにはいない。
 頭を悩ませる仲間に対して、鮫島は余裕の様子をみせている。缶ビールを開けると、ゴクゴクと美味そうに飲み干していく。

「なぁに、バカ正直に正面から挑まなければいいだけさ、卑怯で狡賢くが俺らの強みだからな……まぁ、そのためにも、ひとつ手を打っておくか」
「なにかイイ手を思いついたんっスね」
「あぁ、この女を確実に貶めるのに弟くんの協力も願うとしようかと思ってな」

 ニヤリと残忍な笑みを浮かべると、鮫島は組長である自分の父親に連絡をするべく端末を手に取る。

「さて、前回は張り切りすぎて、すぐに堕としちまったからなぁ。今回はタップリと楽しませてもらうぜぇ」

 手元にある結衣の写真を見下ろしながら、鮫島は笑みを深めていった。


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